機械学習ツールを活用できる分野はデジタルマーケティングだけではない。自動車保険会社のHiRoad Assuranceは、保険加入者の安全運転に機械学習ツールを役立てている。
機械学習の利用場面として一般的なのは、Webサイトで製品をレコメンドしたり、ターゲットを絞って広告を提供したりといったことだ。
だが自動車保険会社のHiRoad Assurance(以下、HiRoad)はデータサイエンスの活用をさらに一歩進め、保険加入者の運転行動に変化をもたらしたいと考えている。保険大手State Farmの子会社であるHiRoadは、加入者の運転の癖を改善するために機械学習モデルを開発した。
自動車保険会社は通常、加入者のこれまでの運転実績を確認し、推定されるリスクに基づいて保険料を定める。HiRoadは新たな取り組みとして、保険加入者に対し、自身の運転の癖を追跡するアプリをスマートフォンにダウンロードするよう求めている。平均速度やブレーキ距離、コーナリング速度などのデータを機械学習アルゴリズムに与えることによって、各運転者のリスクを測定し、そのデータに基づいて保険料を割引するシステムだ。割引額は毎月、前月の運転実績に基づいて更新される。
保険加入者はこのアプリを使って、自分の運転のどのような癖がリスク評価に影響しているのか、自分の運転のどこを変えれば保険料を下げられるのかを確認できる。「当社の事例はデータサイエンスがいかに強力な効果を発揮し得るかを示している」とHiRoadの分析担当バイスプレジデント、ジェイソン・サンチェス氏は語る。
「機械学習をプラスの方向に活用する方法はたくさんある。物事を一段深いレベルで捉えることが可能だ」とサンチェス氏は語る。
当然ながらHiRoadは、保険加入者の安全だけを思ってデータサイエンスを活用しているわけではない。加入者による危険な運転の癖が直れば、事故が減り、ひいては保険金請求の件数が減る。保険金請求の件数が減れば、HiRoadはコストを削減することが可能だ。サンチェス氏によれば、データサイエンスは皆にとってプラスとなる形で、さまざまな業界に変革をもたらし得る。HiRoadにおける機械学習の活用事例は、その一例にすぎない。
「業界では、衝突などの交通事故による死亡者を減らそうという動きが進んでいる。当社もそこに加わりたい」とサンチェス氏は語る。データサイエンスによって、企業は自社製品をインテリジェントなやり方で改良し、着実で漸進的な改善を図ることが可能だ。
現在HiRoadは米ロードアイランド州でのみ事業を展開しているが、この機械学習モデルを改良すべく、親会社State Farmが保有する保険加入者の運転履歴データを活用した。HiRoadのデータサイエンティストは保険金請求の履歴に基づき、事故につながりやすい運転行動を特定した上で、保険加入者の運転データの中から危険な運転行動を検知できるよう、機械学習アルゴリズムを訓練した。
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