人工知能(AI)は人事部の業務も大きく変えることになりそうだ。日常業務や採用業務に加えて、従業員との関わり方も変化するだろう。専門家が答える。
現代の人事部は、決まった仕事をこなせばよいというようなものではなく、また、少なくともそうであってはならない。文化や技術、世界経済が急激に変化したことで、企業や企業の人事部門は従業員となり得る人や現在の従業員との関わり方を大きく変えざるを得なくなっている。The Future Workplace Experienceの受賞共著者であり、人事部への助言を行うリサーチ会社、Future Workspaceの共同創業者であるジェーン・マイスター氏は、従業員との関わり方について日々研究を重ねている。
マイスター氏が、人事部向けの人工知能(AI)がディスラプター(創造的破壊要因)になる理由や、人事部の戦略を立案することが最も重要で譲れない理由などについて語った。
人事部にとってどの技術トレンドが最も混乱を招く可能性があるのだろうか?
マイスター氏 間違いなくAI、特に機械学習がその筆頭だ。AIは人事部にとって業務の混乱を招く最も大きな要因となる技術だ。働き方は役割に関係なく変わる。McKinseyは大半の業務のうち約3分の1はAIで自動化されると見積もっている。
それでは、質問だが、企業や個人はスキルアップのために何をしているか? 企業がAIを利用してたくさんのルーティンワークを自動化するため、仕事は根本から変わるだろう。私たちはそれぞれ、人間にしかできない仕事に集中する必要がある。
だから、私たちは創造力や重要な問題解決能力に新しく目を向けている。
企業や従業員は、AIが自分の仕事や自社にどのような影響を与えるかを考えるために何ができるか?
マイスター氏 雇用者や人事部のリーダーに何らかの行動を促すのであれば、従業員に対しさまざまなスキルアップの機会を提供させることだ。
学習の最も大きなトレンドでは、独自コンテンツの制作よりも、むしろキュレーションだ。この種のコンテンツ(例えば、大規模かつオープンなオンラインコース)を利用すれば、技能を習得してデジタルバッジを取得できるが、それに必要なコストは大抵の場合、わずか200〜300ドルほどだ。これはさほど大きな投資ではない。さらに一歩踏み込んで「その費用は会社が負担する」という企業もある。
AIはかなり広い範囲に影響を及ぼすが、企業はどこから着手すればよいか?
マイスター氏 人事部向けのAI戦略を立案することから始めるとよい。この戦略は全ての従業員のライフサイクル全般に影響を及ぼす。採用の仕方にも影響を及ぼし、さらには学習や開発のための戦略にも影響するだろう。仕事のこなし方に対して即座にフィードバックを返す新しいAIツールが多数存在するため、業績管理やコーチングにも影響は及ぶ。
人事部もマーケティング担当者やマーケティングチームとより良く深い関係を構築し、彼らがどのようにAIを使ってより効果的なカスタマーエクスペリエンスを生み出そうとしているかを理解する必要がある。
マーケティング部門は顧客とともにマーケティング体験のデジタル化やパーソナル化を実際に行ってきたため、この部分に関して何十年にも及ぶ豊富な経験がある。最終的に、AI戦略を導入すれば人事部はよりパーソナルな従業員エクスペリエンスを生み出すことができる。従業員の真のニーズを理解し、それらのニーズをより巧みに満たすことが可能だ。
人事部でAIを利用する場合の例とは?
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