プロバイダーと顧客の責任範囲は
クラウドサービスが止まる日に備えて企業が今できること
クラウドの停止による損失を想定していない企業や、データとワークロードを復元する責任が利用者側とプロバイダー側のどちらにあるかを理解していない企業は、予想外の損失に直面するリスクがある。
クラウドサービスの停止はささいな問題ではない。クラウドは、最新のITツールキットと同じくらい、企業に欠かせなくなっている。数時間や数日の停止はもちろん、数分停止するだけで、収益に深刻な影響が及ぶ可能性がある。
クラウドサービスが停止すると、顧客満足度や収益に影響する。クラウドへの依存の度合いによっては、ワークロード、テスト、ソフトウェア開発、データアクセスなどの分野に影響が及ぶ。その結果、基準や規制に従うことができなくなり、罰金や罰則を科される恐れがある。2018年5月25日にEUの「一般データ保護規則」(GDPR)が施行されたため、コンプライアンス対策は喫緊の課題になっている。
全てのクラウドサービスプロバイダーは、サービス停止に関して、ストレージなどのインフラを可能なかぎり迅速に再稼働する責任がある。ただし、その責任範囲は、顧客の希望とは必ずしも一致しない。このことは特に、クラウドベースのデータ、アプリケーション、その他のワークロードに当てはまる。
併せて読みたいお薦め記事
クラウド移行の事例
クラウド移行を目指す企業があえて見据えるべき“コツ”と“課題”とは
クラウド停止「責任」の理想と現実
市場調査会社Vanson BourneはITベンダーVeritas Technologiesの依頼を受け、2017年7月から8月にかけて、IT部門とビジネス部門の意思決定者各600人にアンケート調査を実施した。Veritas Technologiesはこの調査結果を受けて、レポート『The Truth in Cloud』(クラウドの実態)を2017年10月に公開した。同社はこのレポートの中で、クラウドに関する多くの誤解が存在することを強調している。誤解の中には、クラウドサービスが停止したときに、アプリケーションとデータを保護する責任はサービスプロバイダーと顧客のどちらにあるかに関する認識も含まれている。
レポートは、調査対象者の半数以上が、クラウドサービスの停止に対処する責任は主にクラウドサービスプロバイダーにあると考えていることを明らかにしている。その上、回答者の5分の4は、クラウドサービスプロバイダーが、アプリケーションとデータをクラウドサービスの停止から保護する責任を負う必要があると答えている。だが現実は、その通りになるわけではない。
クラウドサービスの契約内容を細かく見ると、サービスが停止したときに、顧客側が重い責任を負う領域があるのが分かるだろう。Veritas Technologiesによると、契約では通常、プロバイダーはクラウドサービスのインフラにのみ対処することになっているという。つまり、プロバイダーには、クラウドが停止した場合に、インフラの運用を再開する責任がある。
しかし多くの場合、クラウドサービスが停止したときに復旧する必要があるのはインフラだけではない。データとワークロードを再稼働して運用するのは、インフラの復旧とは別の話だ。このような復旧の責任の一部または全てが、顧客の責任になる可能性がある。Veritas Technologiesはこの点を明らかにするために、ある大手クラウドサービスプロバイダーの契約書の一部を引用している。最初の引用には、サービスの中断や障害が起きる可能性があることが示されている。2つ目の引用には、プロバイダーは、収入、利益、顧客、ビジネスの損失に責任を負わないことが記されている。そして、3つ目の引用には、プロバイダーがビジネスの中断に関していかなる法的責任も負わないことが強調されていた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[o9ソリューションズ・ジャパン株式会社] 「改正物流効率化法対策」徹底解説 総物流費を抑制するサプライチェーン戦略 -
製品資料
[o9ソリューションズ・ジャパン株式会社] 「サプライチェーン最適化」実践ガイド:効果的な意思決定を実現する秘訣とは? -
製品資料
[株式会社リンプレス] 非デジタル/IT人材を「自走するDX推進者」に変えるための育成ロードマップ -
市場調査・トレンド
[ワンアイルコンサルティング株式会社] AI時代の組織設計:「判断と責任」を人に残すための2つの原則とは? -
技術文書・技術解説
[ワンアイルコンサルティング株式会社] システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
1200万円のSaaS導入を回避 スギ薬局「運用費10万円」のAIエージェント構築術
-
2
「完璧な設計」なのに3000万円溶けた AWSの失敗事例から学ぶ3つの教訓
-
3
クラウド資格コレクターは評価されない? 年収1000万を分ける“OSの理解度”
-
4
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
5
「AIバブル」は崩壊するのか? 熱狂の後に来る“尻拭い”と4つの防衛策
-
6
高額な「AI PC」を一般従業員も使えたら? 費用のハードルを一気に下げる方法
-
7
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
8
「コピペ運用の限界」に直面するAI活用 7割超が“別画面”のまま使う理由は?
-
9
IT調達担当者が知るべき「IT機器 大インフレ時代の前向きな選択肢」
-
10
「RAGの利用」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
2
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
3
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
4
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
5
「Google Workspace」活用事例34選、先進の生成AIによる組織変革の全貌
-
6
生成AIで文書活用を進めるには? 効率化と安全性をどう両立する
-
7
「人員を増やす」という選択肢はない 情シスが負の連鎖から抜け出すには?
-
8
「問題が深刻化しやすいプロジェクト管理」から脱却する方法とは?
-
9
Linuxのスキルを証明する“激推し”の認定資格はこれだ
-
10
NTTドコモが実践したクラウド統合監視 業務量2倍でも残業削減を実現できた理由
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー