回線負荷軽減やコスト削減などに効果
VPNをやめて「クラウド相互接続サービス」に移行すべき3つの理由
クラウドサービスのユーザー企業にとって、VPNをクラウドベンダーの相互接続サービスに置き換えることには、明確なメリットがあるという。それはどのようなものなのか。
クラウドコンピューティングの段階的な導入は、戦略として間違っていないと考えてよいだろう。段階的に導入を進めることで、企業やIT部門のスタッフは、アプリケーションやデータアクセスの変化に対処しやすくなるからだ。ただしネットワークの点から見ると、この移行方法にはコストがかかる。
企業は早い段階から、安価で迅速な導入が可能なVPN(仮想プライベートネットワーク)をIaaS(Infrastructure as a Service)へのアクセスに利用してきた。当時は、オンプレミスのインフラからIaaSへワークロード(システム)を移行させるのに、VPNで十分だった。だが現状は、高速なデータ伝送速度を必要とし、遅延の影響が大きいワークロードをクラウドへ移行する段階にきている企業が少なくない。この段階までくると、標準のVPNでは十分とはいえなくなる。
最適解はどこにあるのだろうか。その答えが、クラウドベンダーが提供する相互接続サービスだ。
相互接続サービスで得られるメリット
相互接続サービスは、データ伝送速度を確保し、遅延を抑えるだけのものではない。それ以外に、現在のネットワーク管理者が直面する、幾つかの問題も解決する。以下、相互接続サービスの3つのメリットを紹介しよう。
1つ目に相互接続サービスへ移行すると、オフィスのインターネット回線で高まる負荷を取り除くことができる。クラウドへのVPN接続は、パブリックのインターネット回線を使用する。そのため、クラウドのワークロードにアクセスを試みる企業内のエンドユーザーは、限られたネットワークリソースを奪い合うことになる。クラウドとのデータのやりとりを相互接続サービスへオフロードすることで、潜在的なボトルネックになっているインターネットエッジ(終端)の負荷が軽減される。
2つ目に相互接続サービスには、切望されていたWAN(Wide Area Network)のサービス品質保証(SLA)がクラウドベンダーから提供される。VPNは一般的にパブリックのインターネット回線を使用するため、アップタイム(連続稼働時間)の保証が難しい。クラウドベンダーも顧客も制御が及ばない可変要素が多過ぎるためだ。相互接続サービスであれば、クラウドベンダーはWAN通信をエンドツーエンドで完全に管理/制御できる。そのためWANのSLAを提供することが可能になる。
3つ目のメリットが得られるのは、クラウドのアベイラビリティーゾーン(データセンター群)の内外に大量のデータを出し入れする必要のあるプロジェクトだ。相互接続サービスであれば、大量のデータを移動するコストを大幅に削減できる。当然のことだが、相互接続サービスを使用すれば実効的なデータ伝送速度(スループット)も向上する。ほとんどの場合、企業は相互接続サービス用に必要なデータ伝送速度を選択し、一定期間ごとの利用に対して支払いをする。クラウドへのデータの移動にかかる費用は無料か、かかるとしてもごくわずかだ。クラウドのデータにアクセスするコストは、一般的にこれより高くなる。ただし数千GBをダウンロードする場合、相互接続サービスのコストは他の手段と比べて、大幅に低くなる。
接続方法は多彩
既存のVPNからクラウドベンダーの相互接続サービスへ移行する場合は、まず自社が契約するクラウドベンダーが、相互接続サービスを提供しているかどうかを確認する必要がある。大手IaaSベンダーのいずれかを利用しているのであれば、ほぼ確実に提供している。ただし一般的にクラウドベンダーは、クラウドへの接続に仲介役のデータセンターパートナーを使用していることを理解しておく必要がある。
Amazon Web Service(AWS)は、相互接続サービス「AWS Direct Connect」のロケーション(相互接続ポイント)のリストを用意している。そのロケーションは、事実上サードパーティーのデータセンターだ。AWS Direct Connectのユーザー企業は、まずサードパーティーのデータセンターに接続する。そのデータセンターを運営する事業者は、AWSのデータセンターに直接接続して、残りの接続を完了させる。
ユーザー企業が自社のデータセンターに直接接続できるようにしているクラウドベンダーもある。ただし直接接続のユーザー企業向けに、地理的に分散したサードパーティーのデータセンターをロケーションとして利用するのが一般的だ。
経路を自動的に交換・登録する「ダイナミックルーティング」を使用した、より堅牢(けんろう)なレイヤー3接続オプションを提供するクラウドベンダーもある。例えば「Microsoft Azure」の相互接続サービス「Azure ExpressRoute」は、Microsoftのデータセンターとユーザー企業の間で、ダイナミックルーティングによる接続を可能にしている。
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