レガシーアプリ延命術
Windows Server 2008のサポート終了はDocker導入のチャンス
DockerはWindows Server 2008のサポート終了を好機と考えている。これはコンテナ導入を検討している企業にも当てはまる。1年後の大イベントを最小コストで乗り切るヒントとは?
コンテナは、Windows Server 2008向けレガシーアプリケーションのリフト&シフトに役立つ。同時に、Windows Server 2008サポート終了(2020年1月14日)は、Dockerにとって大きなチャンスになる。
スペインのバルセロナで開催された「DockerCon」の基調講演で、DockerのCEO兼会長のスティーブ・シン氏は次のように語った。「レガシーシステムは重要なデータを保持しているが、サイロ化している。こうしたデータを生かし、絶えず改善を繰り返しながらリアルタイムにイノベーションを実現する必要がある。そのためにはイノベーションを引き起こす全く新しい考え方と次世代コンピューティングプラットフォームが必要になる」
コンテナはイノベーションを加速するプラットフォームを提供する。Forrester Researchのアナリストによると、多くの企業がコンテナプラットフォームを使用して、主にソフトウェア開発の速度を高め、ソフトウェア開発とIT運用の成熟を促しているという。
「Dockerコンテナプラットフォームの目標は、グローバル規模でイノベーションを実現するためのプラットフォームを提供することだ。コンテナはどこでも使える。コンテナは第四次産業革命におけるイノベーションの中心になるだろう」(シン氏)
レガシーアプリケーションをコンテナでカプセル化し、APIを使ってそのアプリケーションに組み込まれたコアサービスにアクセスする。イノベーションにはこうしたことも含まれる。
2018年10月に公開された、コンテナプラットフォームに関する「Forrester New Wave」によると、こうした手法は企業にとって大きなメリットの一つになるとされている。「レガシーアプリケーションとマイクロサービスアプリケーションの両方を近代化(モダナイズ)するために、コンテナプラットフォームの利用が広がっている」
Forrester New Waveの2018年第4四半期のレポートは、「Dockerは開発者のデスクトップから運用環境まで、セキュリティが確保されるコンテナサプライチェーンを提供し、マルチOS、マルチスケジューラーのコンテナクラスタを簡素化する」と述べている。
シン氏によると、IT予算の85%が既存システムのメンテナンスに使われているという。イノベーションの予算を搾り出すには、このIT予算を減らす必要がある。これを実現する一つの方法がコンテナの利用だとシン氏は考えている。「レガシーITをコンテナ化すれば、管理は容易になる」
Dockerは、.NETコードの70%がWindows Server 2003とWindows Server 2008で運用されていると推定している。こうしたアプリケーションにソフトウェアの依存関係が存在することがIT部門の課題になると同社はブログ記事で指摘している。つまりアプリケーションに互換性がないため、Windows Server 2019のような最新のサーバOSに簡単には移行できない可能性がある。
Dockerは、Windows Server 2008のサポート終了を大きなチャンスと捉えている。「Docker Enterprise」を使えば、古いアプリケーションをコンテナ化してWindows Server 2016やWindows Server 2019といったサポートされているサーバ環境で実行できる。こうすれば、レガシーコードはそれまでの環境で効果的に実行される。
2018年11月、Dockerは「Windows Server Application Migration Program」を発表した。このプログラムの立ち上げに当たり、Dockerの最高製品責任者スコット・ジョンストン氏は次のように語った。「Windows Serverのユーザーは、サポート終了に伴う問題を緩和するため、レガシーアプリケーション向けコンテナ戦略の立案について当社に協力を求めるだろう」
「このプログラムにより、多くのユーザーがDocker Enterpriseを使ってアプリケーションの総保有コスト(TCO)を50%削減し、クラウド移行やエッジコンピューティングなど、戦略的なITイニシアチブの予算を確保できるようになる」
変化を引き起こす利用者側のニーズ
DockerConにおいて、MuleSoftのEMEA(Europe, the Middle East and Africa)担当責任者を務めるラジュ・ミストゥリ氏は、Dockerコンテナと同社の「MuleSoft APIゲートウェイ」を使ってWindows Server 2008のeコマースアプリケーションをWindows Server 2019に移行させる方法をデモンストレーションした。
「当社のような利用者側のニーズが企業の動きを変える推進力になっている。変えているのはIT部門ではない。エコシステムの将来を保証するため、内部のデータをどのように外部から利用できるようにするかが問題になる」
同氏は、レガシーアプリケーションへのアクセスにMuleSoftをどのように使用できるかを示した。
「ユーザーはDocker Enterpriseを使ってレガシーコードをコンテナ化できる」とシン氏は話す。だがいずれはMuleSoftとの連携のように、ユーザーが追加機能の利用を開始して、コンテナ化したレガシーアプリケーションを最新アプリケーションアーキテクチャの一部に含めることを同氏は望んでいる。
一度導入してしまえば、Docker Enterpriseのコンテナプラットフォームとコンテナを利用する方法論によって、既存のアプリケーションを近代化すると同時に業務要件と顧客ニーズに応じた新しい技術の導入が可能になる。そしてソフトウェアプラットフォームを標準化し、運用の仕組みを変えずに新しい技術スタックやアーキテクチャを導入できるようになる。
Dockerによると、Docker Enterpriseによって特定のインフラやクラウドにロックインされないセキュアで反復可能なモデルを手に入れることができるという。その結果、アプリケーションを近代化し、業務要件の進化に応じて新しい技術を導入できるようになる。
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