医療に役立つ「AI」6つの用途【前編】
医療従事者の負担を軽くする「医療AI」の使い道3選
医療機関の間で、AI技術を活用する動きが広がりつつある。医療画像解析や診断支援など、医療従事者の業務改善に役立つAI技術の活用例を3つ紹介する。
人工知能(AI)技術を実装した製品やサービスを提供できるよう、多額の投資をするベンダーは少なくない。MicrosoftやGoogle、Apple、IBM、Amazon Web Services(AWS)などのベンダーはいずれも、AI技術に関する取り組みに全力を尽くしており、AIサービスを既にユーザー企業に提供している。特に医療分野では、医用画像解析や診断にAI技術を活用することで、医療従事者の業務効率を改善し、患者をより手厚くケアできるようになる可能性がある。
医療機関の間では、IBMのAIエンジン「Watson」を組み込んだ同社のクラウドサービスの利用が広がり始めた。Watsonを用いたクラウドサービスは、がん研究や患者リスク評価などの場面で使われている。
AI技術が価値を発揮できるであろう用途は、その他にもある。ただし新しい技術が医療現場に入ると、必ず幾つか課題に直面する。医療機関がAI技術を活用する上で、よくつまずくのは、データの互換性や規制、患者・医療従事者の新しい技術の受け入れ方などの課題だ。医療機関の経営陣は、これらの課題を踏まえ、AI技術を評価/確認した上で、導入の取り組みを始めなければならない。
前編では、医療従事者の仕事を支援するための、AI技術の利用例を3つ紹介する。
利用例1.きめ細かな医療のための高度な分析と調査
がん研究の分野では、エックス線やMRI(磁気共鳴画像法)とAI技術を併用した異常の発見方法が研究されている。ゲノムと遺伝子について研究するときに、AI技術を用いれば複雑な処理を実行しやすくなる。精密医療の分野では、患者一人一人の状態に合わせて、細かくカスタマイズした治療プランの提案が可能だ。
Watsonを使ったシステムは、患者の構造化データと非構造化データを処理し、がん患者向けに科学的根拠に基づいた治療(EBM)を提案できる。
利用例2.医用画像解析と診断支援
放射線医学の現場では、診断プロセスを支援するために、エックス線やMRI、CT(コンピュータ断層撮影)など、多数の手段で撮影した医用画像を解析する。この画像解析システムにAI技術を用いることで、医師が診断するときに、問題のある箇所の検出を助けることができる。
利用例3.自然言語処理(NLP)による入力支援
医療従事者が口述した内容を自然言語処理(NLP)技術によってテキスト化し、そこから必要な情報を抽出して電子医療記録(EHR)システムに入力できる。これにより、記録に使う時間の節約につながる。
NLP技術を使った臨床関連文書の分析も可能だ。最新のNLPシステムは、文書の内容を分類して、臨床チームに関係のあるデータをマーカーなどで強調表示できる。
医療分野では現状、AIシステム単独で患者の病状を診断することはできない。患者の正確な診断に必要な要素がAI技術に備わっていることを証明できるようになるまで、現在の医療分野におけるAI技術の利用を広げるプロセスでは、慎重かつ周到な計画を立てなければならない。それでも機械学習やビッグデータの進歩は、問題や洞察を人間よりはるかに素早く発見することを後押しする。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
医療に役立つ「AI」6つの用途
医療機関が人工知能(AI)技術を利用することで、治療の効果やスタッフの業務効率改善、患者の利便性向上につながる可能性がある。医療の現場でのAI技術活用例を、前後編にわたって紹介する。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[日本オラクル株式会社] ピンチをチャンスに変えたEPR製品は? 先行企業の導入事例3選 -
技術文書・技術解説
[日本オラクル株式会社] 無自覚なリスク 秘伝Excelファイルが監査の壁、不正・ミスの温床となる理由 -
製品資料
[日本オラクル株式会社] 戦略的経理の第一歩 失敗のない「脱Excel」を実現する秘訣とは? -
技術文書・技術解説
[日本オラクル株式会社] いまさら聞けないオンプレERPとクラウドERPの違い 最適な製品をどう見極める? -
事例
[株式会社ビザスク] 連結売上高が約2倍に成長、富士フイルムが実践した新規事業創出の戦略とは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
2
1200万円のSaaS導入を回避 スギ薬局「運用費10万円」のAIエージェント構築術
-
3
年収700万超エンジニアに共通するスキルと「もっと勉強すべきだった分野」
-
4
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
5
クラウド資格コレクターは評価されない? 年収1000万を分ける“OSの理解度”
-
6
脱VMwareか、継続か? 仮想化ソフト主要6製品の機能とスペックを徹底比較
-
7
JSONをやめてPythonで送る トークン消費を約7割抑えるAIの設計
-
8
「0.3秒のスピード顔認証」の入退室管理が社員に好評 事例に学ぶオフィス改革
-
9
「ノートPC派」は損をしている? Dellと考える“自作PC”のメリット
-
10
慶應義塾が「Notion」を選んだ理由 AI導入の盲点になる“情報のサイロ化”
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
3
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
4
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
5
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
6
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
7
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
8
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
9
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー