「Cisco Meraki」で無線LANを改善
学校が「Wi-Fi 6」の早期導入に踏み切った理由
高速かつ大きな通信容量の無線LANを実現したい――。こうしたニーズを満たすために、カナダのある学区が実施したこととは何か。
カナダのアルバータ州ロッキーマウンテンハウスにあるワイルドローズ学区は、主要都市部から百数十キロ離れた場所に位置する。同学区には、自宅からインターネットにアクセスできない生徒や教員が多く、学校で利用できるインターネット接続環境が極めて重要だ。
「当学区の生徒には、都市部の生徒と同じように、デジタルでつながる世界で生活してほしい」。こう語るのは、ワイルドローズ学区でITサービス部門のディレクターを務めるジェイモン・ルフェーブル氏だ。同学区は、学習をはじめとするさまざまな用途でのインターネット利用を支援するために、無線LANをはじめとするネットワーク環境の整備を進めている。
ルフェーブル氏は、かつてワイルドローズ学区で発生した、予算の都合で無線LANのアップグレードが遅れた際の出来事について「繰り返したくない」と振り返る。新たな年度が始まる9月、予想外のトラフィック増加によって、同学区のネットワークが機能しなくなった。そのため、9月半ばまでにネットワークを刷新する必要があり、「理想とは懸け離れた状態」(同氏)だったという。
そこでワイルドローズ学区が導入したのが、Cisco Systemsのクラウド管理型無線LAN製品/サービス群「Cisco Meraki」だ。
ルフェーブル氏らのチームはわずか数日で、ワイルドローズ学区のネットワークシステム全体にCisco Merakiのアクセスポイント(AP)を複数導入できた。これはネットワーク機器を置き換えやすいというCisco Merakiの特徴による効果だ。それ以来約10年にわたり、同チームはCisco Merakiを利用し続けている。
なぜ「Wi-Fi 6」が必要か
無線LAN環境を毎年積極的に刷新する戦略の下、ワイルドローズ学区は通信密度の高い地域から、段階的に新しい無線LAN機能や装置を整備している。「ネットワーク環境を刷新する地域を限定することで、ネットワークの切断を最小限に抑え、継続的かつ逐次的に改善を進めている」とルフェーブル氏は話す。
最近、ルフェーブル氏らのチームは無線LANの新規格「IEEE 802.11ax」(Wi-Fi Allianceによる製品認証プログラムの名称では「Wi-Fi 6」、以下Wi-Fi 6)に準拠したAPの早期導入に着手した。同チームは、9月にWi-Fi 6準拠デバイスの利用が増えると予測している。通常、9月とクリスマス後の1月は、新しいデバイスが大量に持ち込まれるためだ。ワイルドローズ学区はBYOD(私物端末の業務利用)ポリシーを採用している。同学区にある18校、約4800人の生徒が、新旧問わず何千台ものデバイスを持ち込むというのがチームの推測だ。
無線LAN規格「IEEE 802.11ac」を基に、業界団体のWi-Fi Allianceが定めた製品認証プログラムの第2世代「802.11ac Wave 2」に準拠したデバイスは、一斉かつ大容量のトラフィックを処理できる。だが実際には「802.11ac Wave 2準拠デバイスと、それ以前の製品認証プログラムに準拠したデバイスが混在する環境では、適切に機能しない」とルフェーブル氏は考えている。
特にカフェのような多くの人が集まる場所で、優れたスループットを実現し、全てのデバイスに最適なネットワークを提供するため、ルフェーブル氏のチームは2.4GHzと5GHzの両周波数帯が利用できる環境を望んでいる。これを実現するのがWi-Fi 6だ。
ルフェーブル氏はWi-Fi 6により、デバイスの電力消費効率が向上し、バッテリー持続時間が長くなると予測している。「生徒が1日8時間の学校生活の間にデバイスを充電できるとは限らないため、このことはクラスに大きな影響を与えるだろう」と付け加える。
無線LANをアップグレードしても「生徒や教員はパフォーマンスの違いに気付かないだろう」とルフェーブル氏は語る。気付かれないということは、十分な通信量を確保できた証拠でもあるというのが、同氏の見方だ。「教育現場でのITは目新しいものではない。教室の照明があるのと同じくらい当たり前になっている。当部門の現在の仕事は、教員や生徒に先んじることだ」(同氏)
ルフェーブル氏は、最近ワイルドローズ学区で発生したネットワークトラフィックの不可解な急増を例に挙げる。このトラフィック増加は全て、Googleの地球儀アプリケーション「Google Earth」に起因していたという。同氏は同学区で学習と教育部門のディレクターを務める妻のジェニファー・ルフェーブル氏からその理由を聞くまで、トラフィック急増の原因が分からず困惑した。Google Earthで教育ゲーム「Where on Google Earth Is Carmen Sandiego?」(Google Earth版「カルメン・サンディエゴを追え」)が公開されたことが、その理由だった。
教育現場でのネットワーク整備の課題は「アクセスを統制することではなく、人為的な制約によってアクセスが制限されることがないようにすることだ」とルフェーブル氏は語る。「そのためには、決して立ち止まることはできない」(同氏)
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