特定のタスクに専門化した異なるブロックチェーンを相互運用することによるメリットは計り知れない。それを実現するIBCは開発者の必須知識となるだろう。
技術は急速に進化しているのに国際決済のシステムは大きく遅れている。「Amazonフレッシュ」で注文したオーガニックビートルートが一夜のうちに届けられる時代に、権力の政治的な気まぐれに支配される時代錯誤な貨幣制度のネットワーク効果にいまだ縛られている。
そしてインターネットのプロトコルは、情報交換と同じように金銭やデジタル資産をやりとりするようには設計されていない。
ここで登場するのがInter-Blockchain Communication(IBC)だ。IBCは、複数のブロックチェーンを相互に接続するネットワーク、つまり「ブロックチェーンのインターネット」実現を目的に設計された、オープンで自己主導型かつセキュリティが確保されるプロトコルだ。
IBCは分散型チェーンの未来の接続基盤で、その全体構造を据える基礎になる。IBCはブロックチェーン間のメッセージの送受信を可能にする。これはPCがTCP/IPで相互にメッセージを送受信するのと同じだ。IBCは合意アルゴリズム、ステートマシン、設計哲学が異なるブロックチェーン同士の相互運用を容易にする。IBCはブロックチェーンに依存しないため、ホストも制御も1つのプロジェクトで行う必要はない。
IBCをサポートする全ての分散台帳は、IBCをサポートする他の台帳とのハンドシェイクを許可なく開始することができる。このハンドシェイクが完了すると、2つの台帳間に通信チャネルが開く。その後、任意のデータを含むIBCパケットは台帳間で相互にデータの交換を開始できる。このプロトコルが広く導入されると、IBCパケットが有機的に急拡大してブロックチェーンのインターネットの概念が現実になる可能性がある。
現状、世界中には異なる機能を実行するさまざまなブロックチェーンが多数存在する。通貨を提供するBitcoin、ローカライズしたアプリケーションプラットフォームを提供するEthereum、効率が良い軽量クライアント検証を提供するCodaなどだ。これらのブロックチェーンはそれぞれ異なるタスクに特化しており、現時点では相互に独立している。
1つのブロックチェーンで一度にあらゆることを実行するのではなく、それぞれのブロックチェーンが特定の機能を専門的に実行できるため、ブロックチェーンの専門化にはメリットがある。ただしブロックチェーン間でコミュニケーションが行われないため、相乗効果やシームレスなユーザーエクスペリエンスは失われる。ブロックチェーンを相互運用できれば、欠点を生じさせずに専門化のメリットを得ることができる。BitcoinをEthereumに送信し、スマートコントラクトでBitcoinを使うことができる。またその逆も可能だ。全く独立して設計された2つのソフトウェアを相互に接続し、導入できるようになる。独自の相互運用システムや相互運用ブリッジを構築するために数千時間のコーディングを行う必要はない。
IBCの次期リリースについて、開発者は次の点を知っておく必要がある。
分散型ネットワークが現状を打破するには相互運用が不可欠だ。政治的に独立し、自己主導型で、経済的に相互作用するチェーンのエコシステムは、専門化された異なるブロックチェーンを1つの相互運用可能な経済に組み込む。その結果、メインストリームのユーザーを取り込み、新しい暗号経済システムの基盤を形成する。
クリストファー・ゴーズ氏はInterchainのIBC主任開発者。InterchainはInterchain Foundationが完全所有するドイツの有限会社(GmbH)。
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