「VDI」を「ハイパーコンバージドインフラ」(HCI)で構築すべき4つの理由HCIによる「VDI」設計のポイント【後編】

「VDI」用のインフラとして「HCI」が有力な選択肢になるのはなぜなのか。VDIに適したインフラの要件から、その理由を探る。

2020年11月06日 05時00分 公開
[Kurt MarkoTechTarget]

 在宅勤務などのテレワークを実現する手段となる「VDI」(仮想デスクトップインフラ)を設計する際、特にインフラ面で考慮すべき要素は以下の4つだ。「ハイパーコンバージドインフラ」(HCI)は一般的にこの4つの要素を考慮して設計されているため、VDIを構築するインフラの有力な候補になる。

  1. スケーラビリティ
    • アプリケーションの処理負荷増大やエンドユーザー数の増減に対処するために、リソースの規模を迅速に拡縮できる。
  2. 地理的な分散と冗長性
    • 地理的に異なる複数のデータセンターやクラウドサービスのリージョン(地域データセンター群)にインフラを用意する。
  3. 柔軟性
    • さまざまなアプリケーションの種類や在宅勤務者の要件に応えるための詳細な設計ができる。
  4. 一元管理の容易さ
    • IT管理者が複数のデータンセンターに存在するインフラをリモートで構成したり、管理したりできる。

 VDIでは仮想デスクトップのゲストOSとして、一般的にクライアントOS版「Windows」の仮想デスクトップを利用する。仮想デスクトップ配信用サーバの構成は、エンドユーザーが実行するタスクや利用するアプリケーションの種類に応じて変わる。なおAppleのデスクトップOS「macOS」を仮想デスクトップのゲストOSとして導入する組織はほとんどない。

VDI用HCIのベストプラクティスが充実

 HCI ベンダーの中には、VDI市場を重要視しているベンダーが少なくない。そうしたベンダーはVDIのために事前構成したHCI製品をSKU(Stock Keeping Unit:在庫管理の最小単位)として抱えたり、VDI設計ガイドラインを提供したりすることで、企業のVDI導入を支援している。

 Dell EMCとVMwareは「Designs for VMware Horizon on VxRail and vSAN Ready Nodes Validation Guide」と題した、VDIを構築するためのガイドラインを用意している。このガイドラインはVMwareのストレージ仮想化ソフトウェア「vSAN」を搭載したのDell EMCのHCI製品「Dell EMC VxRail」と、VMwareのデスクトップ仮想化ソフトウェア「VMware Horizon」によるVDIシステム構築を支援するためのものだ。こうしたガイドラインは、VMwareと同様にデスクトップ仮想化ソフトウェアを提供するCitrix Systemsも提供している。


 VDI用HCIのリソースをどのように構成するかは、テレワークを実施する従業員の業務特性や人数に応じて変わってくる。リソースを自社のニーズに応じて細かく調整することで、自社にとって最適な形でVDIを運用できるだろう。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news168.jpg

新富裕層の攻略法 「インカムリッチ」の財布のひもを緩めるマーケティングとは?
パワーカップルの出現などでこれまでとは異なる富裕層が生まれつつあります。今回の無料e...

news166.jpg

ブラックフライデーのオンラインショッピング 日本で売り上げが大幅に増加した製品カテゴリーは?
Criteoは、日本国内のブラックフライデーのオンラインショッピングに関する分析結果を発...

news191.jpg

Omnicomが Interpublic Groupを買収 世界最大級の広告会社が誕生へ
OmnicomがInterpublic Group(IPG)を買収する。これにより、世界最大の広告会社が誕生し...