McDonald'sは消費者のニーズや行動を理解するために、さまざまな分析手段を使用する。何を利用しているのか。
ファストフードチェーンを世界中に展開するMcDonald's(マクドナルド)は、消費者向けのスマートフォンアプリケーションを提供している。同社のスマートフォンアプリケーションは顧客データを収集することで、顧客に合わせたクーポンやキャンペーンを提案する。収集したデータを分析するシステムや人工知能(AI)システムには、Googleのクラウドサービス群「Google Cloud Platform」(GCP)を使用している。前編「マクドナルドに「GCPでスマホアプリ開発」を促した“マスマーケの限界”」に引き続き、McDonald'sがGCPを使用して実施するマーケティング施策を説明する。
McDonald'sはスマートフォンアプリケーションから消費者の行動に関する洞察を収集するために、さまざまな分析手段を使用する。
直近の来店日(R:Recency)と来店頻度(F:Frequency)、一般的な購入金額(M:Monetary)に関するデータに基づいて顧客の属性を振り分ける「RFM分析」がその一つだ。RFM分析は、キャンペーンの対象顧客を絞り込む際の基準の明確化に役立つと、ITコンサルティング企業Publicis Sapientでシニアテクノロジーディレクターを務めるアンドレ・エングベルツ氏は説明する。
顧客が購入した商品と購入頻度の関連性を示す統計モデルに加え、顧客の属性と購入商品の傾向を基に、商品の購入可能性を予測するAIモデルも利用する。これらのモデルを活用すれば「ある顧客が特定の商品を購入したことがなくても、その顧客と似た顧客がその商品を購入していたら、その顧客にはその商品を購入する可能性があると分かる」とエングベルツ氏は説明する。
来店しなくなる可能性を予測するための「顧客離れ予測」も使用する。McDonald'sは来店しなくなる可能性がある顧客を検知すると、その顧客をつなぎ止めるために付加価値の高い提案をする。「LTV」(顧客生涯価値)は、特定の顧客が生涯にわたってMcDonald'sにもたらす総合的な価値を予測する際に役立つ。
個人に合わせたマーケティングの取り組みは、McDonald'sの売り上げと業績アップに貢献している。マーケティングオートメーションのためにGCPで構築したAIモデルを利用することで「必要なITリソースが削減できた」とエングベルツ氏は話す。「消費者の動向を正確に予測することは、2015年以降最も効果的なマーケティングの手段になっている」(同氏)
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