「Azure AD」を利用しても、必ずしもオンプレミスの「Active Directory」(AD)をなくせるわけではない。将来的にオンプレミスのADをなくすとしても、それまではAzure ADと共存させる選択肢がある。その方法とは。
前編「『Active Directory』(AD)と『Azure AD』の違い クラウド版だけの機能とは」と中編「『Azure AD』がオンプレミスのActive Directory(AD)より魅力的な3つの理由」は、MicrosoftのID・アクセス管理システムである「Active Directory」(AD)と、ADのクラウドサービス版である「Azure Active Directory」(Azure AD)の違いを紹介した。クラウドサービスの利用が拡大したら、オンプレミスのADからAzure ADに完全に移行すべきなのだろうか。
Azure ADはオンプレミスのADよりも魅力的に映る可能性がある。Azure ADは管理ポータルでMicrosoftの各種クラウドサービスのライセンスを管理可能だ。現状のライセンス数を確認したり、ライセンスをユーザーまたはグループに割り当てたりできる。さまざまなクラウドサービスを利用するようになれば、これはIT部門にとって魅力的な要素になる。
Azure ADを利用開始しても、オンプレミスのADがすぐに必要なくなるわけではない。まずは両者を連携させて管理する方法がある。
オンプレミスのADとAzure ADを同期させる際の手順は下記の通りだ。
設定作業が完了してオンプレミスのADとAzure ADが連携したら、Azure ADでの運用管理に必要な機能を選択する。Azure ADには「Free」「Premium P1」「Premium P2」といった複数のライセンスがある。対象の機能はMicrosoft公式サイトの「Azure Active Directory の価格」で確認できる。
Premium P1またはPremium P2のライセンスが必要な場合は、オフィススイート「Microsoft 365」の「E3」「E5」のライセンス、またはボリュームライセンスを契約することも選択肢になる。Microsoft 365はAzure ADの他、オフィスアプリケーションや「Windows 10 Enterprise」のライセンスをバンドルして提供する。
オンプレミスのADは依然として人気だ。オンプレミスのインフラでADのドメインコントローラー(認証サーバ)を維持するメリットはある。例えばAzure ADだけを利用する場合、Microsoftのデータセンターで障害が発生したら運用を維持できなくなるが、オンプレミスのADであれば直接的な影響は受けない。
一方でAzure ADはクラウドサービスへの接続に役立つさまざまな機能を搭載しているため、オンプレミスのADから移行を検討する動きも広がっている。企業のクラウドサービス利用は拡大しており、Azure ADがさらに大きな役割を果たすようになっている。それに伴い、オンプレミスのADは徐々に姿を消す可能性がある。
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