「Chromebook」をビジネスで安全かつ快適に利用するためには、適切な管理が不可欠だ。Chromebookにはさまざま管理方法があり、ニーズに合わせて選択できる。主要な管理方法の概要を紹介しよう。
GoogleのクライアントOS「Chrome OS」を搭載したノート型デバイス「Chromebook」は、従来のPCに代わる比較的低価格の選択肢だ。企業で導入が拡大している在宅勤務などのテレワークや、クラウドサービスの採用を最優先で検討する「クラウドファースト」戦略を採用する企業に適している。
Chromebookにはさまざまな機種があり、機能や長所、短所がそれぞれ異なる。その中から自社に合う機種を選び出すのは簡単ではない。適切な機種を選ぶには、必要とする管理機能を確認し、クライアントデバイス用の予算を決め、市場の動向を調査する必要がある。
ビジネスにおけるChromebook利用の広がりに応えるべく、GoogleはChrome OSの企業向け機能を充実させている。こうしたChrome OSの企業向け機能を有効にする「Chrome Enterprise Upgrade」を購入・適用すれば、IT部門はChromebookを簡単に管理できるようになる。Chrome Enterprise Upgradeを適用済みのChromebookであれば、IT担当者はGoogleが提供するWebブラウザベースの管理コンソール(以下、Google管理コンソール)を使って、
といったさまざまなタスクを実行可能だ。
さまざまなクライアントデバイスを一括管理する「UEM」(統合エンドポイント管理)製品でChromebookを管理するには、使用するUEM製品のドキュメントで具体的な方法を確認する必要がある。例えばVMwareのデジタルワークスペース製品群「VMware Workspace One」に含まれるUEM製品「Workspace ONE Unified Endpoint Management」(Workspace ONE UEM)を使用する場合は、まずはWorkspace ONE UEMのバージョン9.3以降を導入する。その後Google管理コンソールでChrome OSデバイスを管理する機能「Chrome Device Management」(Chromeデバイス管理)を有効にしてから、Workspace ONE UEMとChromeデバイス管理を連携させる。
Googleは、ChromebookなどのChrome OSデバイスを管理するためのUEM製品として、以下の5製品を認定している。
サードパーティー製のUEM製品とGoogle管理コンソールを併用したい場合もある。その場合、UEM製品とGoogle管理コンソールとの間で、ユーザーやChromebookの管理単位や、Chromebookに割り当てるポリシーが異なる可能性があるので注意が必要だ。この場合、UEM製品の設定がGoogle管理コンソールの設定に優先する。
ChromebookをMicrosoftのID・アクセス管理サービス「Azure Active Directory」(Azure AD)と連携させることも可能だ。この場合は、アクセス権限を管理するAzure ADのドメインコントローラーと、Google管理コンソールの両方でChromebookを確認できる。ただしChromebookを管理したり、ユーザーやChromebookにポリシーを適用したりするには、Google管理コンソールではなく、Azure ADのグループポリシー(特定のユーザーやデバイス群に共通して適用するポリシー)を使用する必要がある。ユーザーは、ADの認証情報を使用してChromebookにサインインできる。ユーザー名をGoogleサーバと同期する必要はない。
ビジネスでChromebookを管理する方法は他にも豊富にあり、状況に応じてさまざまな選択肢がある。こうした状況と用途が、どのChromebookを選択するかという決定を大きく左右する。
Chromebookには特有の課題がある。例えばChromebookで仕事をするには、安定したインターネット接続が事実上必須となる。Microsoftのオフィススイート「Microsoft Office」の「Word」「Excel」といった主要アプリケーションについては、Chromebookで現在利用可能なのはWebアプリケーション版のみだ。それでも企業は、Chromebookの利点に注目し、活用やその検討を始めている。
次回以降は、Chromebookの主要なビジネス向け機種を紹介する。
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