格安ノート「Chromebook」を仕事で使う管理方法と、使う前の注意点「ビジネス用Chromebook」の使い方・選び方【第1回】

「Chromebook」をビジネスで安全かつ快適に利用するためには、適切な管理が不可欠だ。Chromebookにはさまざま管理方法があり、ニーズに合わせて選択できる。主要な管理方法の概要を紹介しよう。

2021年12月05日 12時00分 公開
[Robert SheldonTechTarget]

関連キーワード

Chromebook | Google Chrome | Chrome OS | Google


 GoogleのクライアントOS「Chrome OS」を搭載したノート型デバイス「Chromebook」は、従来のPCに代わる比較的低価格の選択肢だ。企業で導入が拡大している在宅勤務などのテレワークや、クラウドサービスの採用を最優先で検討する「クラウドファースト」戦略を採用する企業に適している。

 Chromebookにはさまざまな機種があり、機能や長所、短所がそれぞれ異なる。その中から自社に合う機種を選び出すのは簡単ではない。適切な機種を選ぶには、必要とする管理機能を確認し、クライアントデバイス用の予算を決め、市場の動向を調査する必要がある。

「Chromebook」を仕事に生かす管理方法と、忘れてはいけない注意点

 ビジネスにおけるChromebook利用の広がりに応えるべく、GoogleはChrome OSの企業向け機能を充実させている。こうしたChrome OSの企業向け機能を有効にする「Chrome Enterprise Upgrade」を購入・適用すれば、IT部門はChromebookを簡単に管理できるようになる。Chrome Enterprise Upgradeを適用済みのChromebookであれば、IT担当者はGoogleが提供するWebブラウザベースの管理コンソール(以下、Google管理コンソール)を使って、

  • ポリシーの適用
  • VPN(仮想プライベートネットワーク)や無線LANへのアクセスの許可
  • Chrome拡張機能の強制インストール
  • Chrome設定の構成

といったさまざまなタスクを実行可能だ。

 さまざまなクライアントデバイスを一括管理する「UEM」(統合エンドポイント管理)製品でChromebookを管理するには、使用するUEM製品のドキュメントで具体的な方法を確認する必要がある。例えばVMwareのデジタルワークスペース製品群「VMware Workspace One」に含まれるUEM製品「Workspace ONE Unified Endpoint Management」(Workspace ONE UEM)を使用する場合は、まずはWorkspace ONE UEMのバージョン9.3以降を導入する。その後Google管理コンソールでChrome OSデバイスを管理する機能「Chrome Device Management」(Chromeデバイス管理)を有効にしてから、Workspace ONE UEMとChromeデバイス管理を連携させる。

 Googleは、ChromebookなどのChrome OSデバイスを管理するためのUEM製品として、以下の5製品を認定している。

  • Cisco Meraki(Cisco Systems)
  • Citrix XenMobile(Citrix Systems)
  • IBM Security MaaS360 with Watson(IBM)
  • ManageEngine Mobile Device Manager Plus(Zoho)
  • VMware Workspace One

 サードパーティー製のUEM製品とGoogle管理コンソールを併用したい場合もある。その場合、UEM製品とGoogle管理コンソールとの間で、ユーザーやChromebookの管理単位や、Chromebookに割り当てるポリシーが異なる可能性があるので注意が必要だ。この場合、UEM製品の設定がGoogle管理コンソールの設定に優先する。

 ChromebookをMicrosoftのID・アクセス管理サービス「Azure Active Directory」(Azure AD)と連携させることも可能だ。この場合は、アクセス権限を管理するAzure ADのドメインコントローラーと、Google管理コンソールの両方でChromebookを確認できる。ただしChromebookを管理したり、ユーザーやChromebookにポリシーを適用したりするには、Google管理コンソールではなく、Azure ADのグループポリシー(特定のユーザーやデバイス群に共通して適用するポリシー)を使用する必要がある。ユーザーは、ADの認証情報を使用してChromebookにサインインできる。ユーザー名をGoogleサーバと同期する必要はない。

 ビジネスでChromebookを管理する方法は他にも豊富にあり、状況に応じてさまざまな選択肢がある。こうした状況と用途が、どのChromebookを選択するかという決定を大きく左右する。

 Chromebookには特有の課題がある。例えばChromebookで仕事をするには、安定したインターネット接続が事実上必須となる。Microsoftのオフィススイート「Microsoft Office」の「Word」「Excel」といった主要アプリケーションについては、Chromebookで現在利用可能なのはWebアプリケーション版のみだ。それでも企業は、Chromebookの利点に注目し、活用やその検討を始めている。


 次回以降は、Chromebookの主要なビジネス向け機種を紹介する。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

隴�スー騾ケツ€郢晏ク厥。郢ァ�、郢晏現�ス郢晢スシ郢昜サ」�ス

製品資料 TeamViewerジャパン株式会社

短期間かつ低リスクで、リモートアクセスツールの導入を完了させる方法

昨今、多くの企業が業務にリモートアクセスを取り入れているが、リモート接続ツールの導入には、専門知識が求められる。また初期設定や運用設計などを自社で行う場合、最適化されていないケースも多い。どのように解消すればよいのか。

事例 Jamf Japan 合同会社

BYOD時代のIT統制強化術、事例で学ぶ安全なAppleデバイス管理

ソフトバンクロボティクスでは、働き方の変化や海外拠点の増加に対応する中で、ゼロトラストセキュリティを前提としたグローバルレベルのIT統制が必要となった。Appleデバイスを業務利用する同社は、どのようなアプローチを採用したのか。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

iPhoneやAndroidスマホを「ノートPC」に変える方法

スマートフォンの進化により、「ノートPCとの2台持ち」の必要性は薄れつつある。スマートフォンをノートPCとして使うための便利な方法を解説する。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

「在宅ワークに飽きた」を解消する“激推しガジェット”はこれだ

テレワークの普及に伴い、スムーズな仕事を実現するだけではなく、ギークの知的好奇心さえも満たすガジェットが充実している。ギークが他のギークに“激推し”したくなるガジェットを紹介しよう。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

「Galaxy S24」が予感させる“AIスマホ時代の始まり”

AI(人工知能)技術の活用が広がる中で、スマートフォンの利用はどう変わろうとしているのか。Samsung Electronicsが発表したスマートフォン新シリーズ「Galaxy S24」を例にして、“AIスマホ”の特徴を紹介する。

郢晏生ホヲ郢敖€郢晢スシ郢ァ�ウ郢晢スウ郢晢ソスホヲ郢晢ソスPR

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

繧「繧ッ繧サ繧ケ繝ゥ繝ウ繧ュ繝ウ繧ー

2025/04/25 UPDATE

ITmedia マーケティング新着記事

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...