ランサムウェア対策として有効だと考えられる「継続的データ保護」(CDP)。ただしメリットばかりではない。導入失敗を避けるために知っておきたいデメリットとは何か。
所定の時間にではなく、データの更新に応じてバックアップを実施する手法が「継続的データ保護」(CDP:Continuous Data Protection)だ。ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃が勢いづく中、いざというときの復元手段として、CDPが活躍する。ただしCDPにはデメリットもあるため、それをよく考えた上で導入を決めることが重要だ。CDPのデメリットとは何か。
CDPの最も大きなデメリットは、バックアップに必要な「データ読み書き速度」の制限だ。CDPでは、更新や削除といったデータの変更が頻繁に発生する。そうした変更をバックアップとして保管するストレージは、データの読み書きが高速でなければならない。読み書き速度が遅いと、エンドユーザーがデータにアクセスして変更するたびに遅延が生じる可能性がある。
企業がCDPを快適に利用するためには、CDPが利用する全ストレージが、十分なデータ読み書き速度を実現している必要がある。特に階層型ストレージ(データの重要度に応じて使用するストレージを使い分ける方法)を採用している企業では、ストレージの読み書き速度の不一致によって問題が生じる可能性がある。
ストレージのデータ読み書き速度の問題を回避し切れない場合、CDPに近い方法を採用する手がある。ファイルのバックアップではなく、1時間ごとにスナップショット(データの一時保存)を取るのがそれだ。スナップショットだと、CDPほどの読み書き速度は必要なく、ストレージへの投資を抑えることができる。
CDPには他にも、単一のバックアップソースを使用するという問題がある。企業がバックアップを確実に実施するには、データとデータリポジトリ(データの保管庫)の両方が重要だ。このいずれかが破損したり、削除されていたりすれば、バックアップがうまくいかない恐れがある。
コストも、CDPを導入する上で考慮すべき問題だ。上述の通り、CDPを採用している場合は、ストレージのデータ読み書き速度が重要になるので、ハードウェアのコストがかさむ。企業はCDPのコストとメリットを天びんにかけ、導入を慎重に決めることが大切だ。
ランサムウェア攻撃を受けた際、CDPは復元以外のメリットも企業にもたらす。CDPによって、企業はランサムウェアの侵入経路を追跡し、攻撃者を特定するためのヒントを得られる可能性がある。これはランサムウェア攻撃の再発防止のために重要だ。CDPを採用していることは、ランサムウェア攻撃を受けた後、監査やコンプライアンスの面で有効になる可能性もある。
CDPは、ランサムウェアの特効薬ではないが、被害を抑えるためには重要なツールになる。企業はコストも含め、CDPのメリットとデメリットをよく考えた上で、自社に最適な選択かどうかを判断するとよい。
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