2022年06月29日 08時00分 公開
特集/連載

オンラインショップのような店舗体験の実現ITによる店舗革命【後編】

店舗はリアルとデジタルを融合させた新しい顧客体験を提供しなければならない。店舗革命の実例を紹介する。

[Glynn Davis,Computer Weekly]

 小売業のAIは製造業とは異なり、人員を減らすロボティクスや自動化につながるとは考えていない。これはLeon Restaurantsの考え方と全く同じだ。Leon Restaurantsが敷地内にキオスクを導入する主な目的は顧客体験を高めることだ。

 Leon Restaurantsのグレン・エドワーズ氏(マネージングディレクター)は言う。「最大のメリットは顧客体験の向上だ。食習慣は絶えず変化し、アレルギーやカロリーに関する新たな規制が生まれる。キオスクを使えば、来店者は必要な情報を全て手元に置いて食事体験をコントロールできる」

 同社はVita MojoとCentegraの協力を得て総合インフラを作成し、キッチン管理システム、POS、CRM、在庫と従業員のスケジュール管理に合わせてキオスクを調整している。

 「完全にキオスク形式で稼働するレストランは80%を超える。不動産展開も今後数週間で完了し、全国の新しいレストランがオンラインで稼働する予定だ。完全にキオスク形式で稼働するようになったレストランでは、取引の85%以上をキオスク経由で処理するようになる」(エドワーズ氏)

 キオスクのもう一つのメリットは、キオスクが生み出すデータだ。そのデータは客の習慣やニーズにマッチしたメニューの開発に役立つとエドワーズ氏は言う。「当社のミッションは、こうしたデータをレストランのマネジャーに渡して来店者の体験を高める判断をマネジャーが下せるようにすることだ。システムのレポートは全てビジネスインテリジェンスダッシュボードに報告され、その店舗にマッチしたその時点の意思決定を可能にする」

自転車店ショールームでのタブレットの活用

 Ribble Cyclesはキオスクではなく、6カ所のショールームに「Android」タブレットを導入して各自転車の隣に配置している。Ribble Cyclesのマシュー・ローソン氏(最高デジタル責任者)は言う。「ショールームはデジタルプレゼンスの延長として設計され、来店者が豊かなショッピング体験を続けるためのスペースを提供する」

 タブレットは、関連する自転車情報をRibble CyclesのWebサイトから動的に取り込む。取り込む情報は店舗内の位置によって決まる。情報は同社のタッチポイントとチャネル全てにフィードされるので、変更はポートフォリオ全体に反映される。「全ての情報は一貫しており、店舗チームの手を煩わせることはない」(ローソン氏)

 店舗のタブレットもWebサイトも、単一のバックエンドインフラで実行される。そのため顧客のビューも一つになる。顧客は、店舗で始めたショッピングをWebサイトで続け、シームレスにチェックアウトできる。

 このクロスチャネルショッピングをさらに強化するのが「Ribble Live」だ。これにはWebサイトの顧客と店舗の専門家を動画でリンクするGo Instoreの技術が含まれる。「誰もがショールームに足を運べるわけではない。購入を決める前に尋ねたい疑問を誰でも一つは持っている。そのためにショールームの設備投資を利用する」

 コンバージョン率は純粋にオンラインを利用する顧客の10倍に及び、平均注文額は40%上昇する。「これはデジタルプロセスを人間化する」とローソン氏は補足する。

 Ribble Cyclesの店内提案の最後がデジタルスクリーンだ。顧客がタブレットで「再生」すると、関連する自転車の動画が大画面に表示される。このコンテンツも本社のCRMで管理できる。

 Ribble Cyclesの自転車は全て顧客のオーダーに応じて組み立てられる。これにはフルフィルメント(受注から発送までの全業務)プロセスの管理が必要になる。だが頭痛の種になるほどの大量の処理はRibble Cyclesには発生しない。

 スーパーマーケットなど、配送速度が重要な要素になる企業ではフルフィルメントプロセスの管理が深刻な問題になる可能性がある。このような小売業者にとって理想的なソリューションがマイクロフルフィルメントセンター(MFC)だと話すのは、Fabricのコリン・コギン氏(最高商務責任者)だ。同社は米国のFreshDirect、Instacart、Super-Pharmなどと提携している。MFCのような半自動倉庫は、顧客の近くにある既存の店舗に統合できる。

 「当社のMFCは最終消費者のすぐ近くにあるので、素早く配達できる。MFCは高密度の商品保管とロボティクスによって高速に受注処理、商品の取得、ピッキング、梱包(こんぽう)を行い、優れたスループットと効率を実現する。当社のMFCは受注から配送が効率的で収益性が高く、持続可能になるように人間とロボットが連携できる」

 「より迅速な配達を望むようになった顧客の期待に応えるには、フルフィルメント業務を顧客の近くに移す必要がある。収益性を高めるには自動化が不可欠であることを小売業者は理解している。マイクロフルフィルメントは、小売業者に顧客への接近と自動化をもたらし、Eコマースビジネスを迅速に拡大できるようにする指標になる」(コギン氏)

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