「Project Volterra」は、MicrosoftがAI関連開発者向けに開発したArmプロセッサ搭載デバイスだ。Appleの「Mac mini」に似た見た目からは分からない、Project Volterraの本当の特徴を探る。
Microsoftは2022年中に、人工知能(AI)関連の開発者向け小型デバイス「Project Volterra」を市場投入する。2022年5月24日(米国時間)に、開発者向け年次イベント「Microsoft Build」で発表した。Project VolterraはArmアーキテクチャ(Armが設計するプロセッサのアーキテクチャ)のプロセッサを採用し、機械学習アルゴリズムを開発しやすい設計を追求している。
CPU(中央処理装置)とGPU(グラフィックス処理装置)に加え、Project Volterraは「NPU」(Neural Processing Unit)というプロセッサも搭載する。NPUは、人間の脳のようにさまざまな情報を組み合わせて機械学習をする仕組みを持つ。画像認識や自然言語処理といった複雑な処理での利用を想定する。
Project Volterraの外観は、コンパクトでシンプルなデザインを採用するAppleの小型デバイス「Mac mini」に似ている。筐体(きょうたい)は再生利用の海洋プラスチックを素材に使い、環境に配慮した。
業界専門家はProject Volterraの登場により、企業にとって機械学習アルゴリズム開発のハードルが下がるとみる。ただしProject Volterraを使いこなすためには、追加でさまざまな開発ツールを導入する必要があり、コストがかさむとの指摘もある。NPUについては、どこまで人間の脳のような処理を実現できるかを疑問視する専門家もいる。
近年、ノート型デバイスやスマートフォンなどのモバイルデバイスでArmプロセッサの採用が進んでいる。Microsoftは2012年にArmプロセッサ搭載の2-in-1デバイス(タブレットとしても使えるノート型デバイス)「Surface」を投入した。それ以降もSurfaceシリーズでArmプロセッサ搭載モデルの開発や販売を続けたものの「訴求活動に消極的だったこともあって普及しなかった」と、調査会社TECHnalysis Researchのプレジデント兼アナリスト、ボブ・オドネル氏は語る。Microsoftが今回Armプロセッサ搭載に改めて注力する背景には、Armプロセッサの採用に注力しているAppleの影響があるとオドネル氏は言う。
Microsoftのエグゼクティブチェアマン兼最高経営責任者(CEO)、サティア・ナデラ氏はMicrosoft Buildの基調講演で、Project Volterraは「トップクラスのAI処理能力を持つ」とアピールした。AI技術の活用を巡っては、AIシステムが進化によって「自己認識」を持つようになり、人間を支配するといった懸念を表す人がいる。マーケティング支援ベンダーHubSpotデベロッパーリレーション担当シニアマネジャーのクリス・ライリー氏は「そうはならない」とみる。仮にAIシステムが人間を超えるようになったら「ソフトウェア開発者は必要なくなり、存在しなくなる」とライリー氏は言う。
後編は、Project Volterraのニーズについて専門家の見解を紹介する。
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