ECの独占禁止法に関する調査を受けたMicrosoftは、問題となったライセンス規約を変更すると発表した。だが専門家は同社の取り組みに懐疑的な見方を示す。それはなぜなのか。
欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)による調査を受け、Microsoftは他社のクラウドサービスで「Microsoft Office」や「Windows」の利用にかかる料金を引き下げるために、これらのソフトウェアのライセンス規約を変更する計画だ。ただしこのライセンス規約の変更は、自社の「Microsoft Azure」より小規模なクラウドベンダーのクラウドサービスにのみ適用する。Amazon Web Services(AWS)の同名サービスとGoogle「Google Cloud Platform」(GCP)の2大クラウドサービスでMicrosoft製ソフトウェアを利用する場合、Azureで利用するときよりも利用料金が増大する可能性が残る。
Microsoftは「規制当局との対立を回避する一方で、大手クラウドベンダーと戦い続けるためにライセンス規約を見直した」と、コンサルティング会社Directions on Microsoftでアナリストを務めるウェス・ミラー氏は指摘する。Microsoftが発表した計画は、ECが問題提起した懸念の一部に的を絞っているとミラー氏は説明。「非常に戦略的に対処している」とみる。
一部の業界関係者は、Microsoftが実際にライセンス規約を変更するのかどうかについて、懐疑的な見方を示している。同社はライセンス規約の具体的な変更内容を明らかにしていないからだ。「具体的な変更の内容を知りたい」と、欧州のクラウド業界団体CISPE(Cloud Infrastructure Services Providers in Europe)の事務局長を務めるフランシスコ・ミンゴランス氏は語る。
ミンゴランス氏は、改定されたライセンス規約の文言が、実際にMicrosoftが発表した内容に基づいているかどうかを確認できるようにするために、同社がそれらの文言について第三者の監査を受けることを求めている。ECもMicrosoftのビジネスに対する調査を続けるべきだと、同氏は語る。「独占禁止法による制裁を課される恐れがないのであれば、Microsoftはビジネスモデルを変更する動機がなくなってしまう」(ミンゴランス氏)
ECは2000年代に、Microsoftの反競争的な企業行動に対して多額の罰金を科した。当時の企業行動の一例として、他のソフトウェアベンダーに対し、各ベンダーの製品とMicrosoft製品を連携させるための情報を提供し、その際に法外な対価を請求していたことが挙げられる。
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