2022年06月25日 10時00分 公開
特集/連載

「AzureじゃないとOfficeが高くなる」問題が緩和へ ただしAWSだと高いままの謎Microsoft“独占的ライセンス規約“問題の行方【前編】

Azure以外のクラウドサービスでMicrosoft製ソフトウェアを利用する際、料金が高くなる――。Microsoftはこのライセンス規約の緩和を進める。ただしAWSとGCPは緩和の対象外だという。その背景は。

[Mike Gleason,TechTarget]

 Microsoftは同社の「Microsoft Azure」ではない競合他社のクラウドサービスで、「Windows」「Microsoft Office」「Windows Server」「SQL Server」などの同社製ソフトウェアを使用するときに、利用料金が高くなるライセンス規約を設けてきた。同社は2022年5月、欧州の規制当局による調査を受け、このライセンス規約を緩和すると発表した。ライセンス規約の変更の実施時期は明らかにしていない。

 今回のライセンス規約変更で恩恵を受けるユーザー企業は、限られる可能性がある。Microsoftは、Amazon Web Services(AWS)の同名サービスやGoogleの「Google Cloud Platform」(GCP)といった大手クラウドサービスには、今回の変更が適用されないことを明確にしたからだ。これらのクラウドサービスでMicrosoft製ソフトウェアを利用する際のコストは、依然として押し上げられたままになる。

「AWSだとOfficeが高いまま」の“なるほどの理由”

 「今回のライセンス規約の改定は、ハイパースケールクラウドベンダー(主要クラウドベンダー)以外のクラウドベンダーの機会とメリットを増やすことを目的としている」。Microsoftの広報担当者、スターク・サットン氏はこう言い切る。

 Microsoftがこれまでのライセンス規約を見直す背景には、フランスのクラウドベンダーOVHとドイツのクラウドベンダーNextcloudが、欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)に苦情を申し立てたことがある。OVHの苦情は「MicrosoftがOVHに、Microsoft製品に高額な利用料金を課す契約への署名を強要した」という内容だったと、通信社のBloombergは報じている。

 ECはこれらの苦情を調査していることを認めている。通信社Reutersの報道によると、規制当局はクラウドベンダー各社とMicrosoftのユーザー企業に質問票を送り、Microsoftのビジネス慣行について意見を募った。

 苦情に対処するために、Microsoftはより多くのクラウドベンダーが各社のインフラでWindowsやOfficeをホストしやすくする計画だ。Microsoftソフトウェアをサードパーティーのクラウドサービスで使用したいと考えるユーザー企業向けに、ライセンス規約の内容を交渉できるようにするとも述べている。ただしユーザー企業がAWSまたはGCPでOfficeやWindowsを使用する場合は、依然としてコストが高くつく。

 Microsoftはクラウド事業ではAWSに後れを取っている。調査会社Synergy Research Groupが2022年2月に発表した調査結果によると、AWSはIaaS(Infrastructure as a Service)とPaaS(Platform as a Service)、プライベートクラウドサービスを合わせたクラウド市場で約3分の1のシェアを占めている。Microsoftのシェアは21%にとどまる。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news088.jpg

Amazon最強伝説を検証する
「ITmedia マーケティング」では、気になるマーケティングトレンドをeBookにまとめて不定...

news041.jpg

TwitterとShopifyが提携 米国のマーケターが熱視線を送る“ソーシャルコマース”とは?
TwitterはShopifyとの提携により、米国においてEC機能を拡張する。

news103.jpg

脱Cookie時代にデジタル広告が取り戻すべきものとは?
インターネット黎明期からデジタル広告の市場創造に携わってきた著者が今、気象データの...