Oracleにセキュリティ専門家が失望 「危険な脆弱性を半年も放置した」Oracleの脆弱性修正の遅れに批判の声【後編】

「Oracle Fusion Middleware」の脆弱性をなかなか修正しなかったOracleを、あるセキュリティ専門家が強く批判している。専門家が指摘する「問題点」とは何か。

2022年07月27日 05時00分 公開
[Arielle WaldmanTechTarget]

 Oracleのミドルウェア製品群「Oracle Fusion Middleware」の重大な脆弱(ぜいじゃく)性「CVE-2022-21445」と「CVE-2022-21497」。2つの脆弱性を発見した「Peterjson」「Jang」を名乗る2人の人物は、Oracleに早急の修正を求めた。だが修正が完了するまで6カ月かかったとPeterjson氏は主張する。事件のタイムラインを見てみよう。

セキュリティ専門家を“失望”させたOracleの姿勢

 Peterjson氏によると、脆弱性の修正完了までの時系列は次の通りだ(日時は全て同氏のブログを参照)。米TechTargetの取材によると、同氏はベトナムのITベンダーVNGでセキュリティエンジニアを務める。

  • 2021年10月25日:Peterjson氏とJang氏がOracleに脆弱性を報告
  • 2021年10月29日:Oracleが「報告の受け取りを確認し、調査する」と回答
  • 2022年4月19日:Oracleが脆弱性の修正を完了

 報告から約半年が過ぎたタイミングで、ようやくOracleがパッチ(修正プログラム)を公開した形だ。共通脆弱性評価システム(CVSS)ではCVE-2022-21445のスコアは9.8、CVE-2022-21497は8.1と、いずれも最大危険度の10.0に近い危険レベルに位置付けられていた。

 Peterjson氏は米TechTargetの取材に対し、ベンダーが報告を受けて脆弱性を修正するまでは「時間がかかる場合がある」と理解を示しつつ、「今回は危険な脆弱性だったことを考えると、Oracleの姿勢に失望した」と述べた。米TechTargetはOracleにコメントを求めたが、回答はなかった。

 パッチ公開後、Oracle Fusion Middlewareの主要なユーザー企業がパッチを適用したことを確認するには「さらに約2カ月かかった」とPeterjson氏は言う。主要なユーザー企業には小売りのBest BuyやコーヒーチェーンのStarbucks、金融機関のRegions Bankに加えて、Dell Technologiesなどのベンダーもある。

MicrosoftやIntelの脆弱性への姿勢にも批判が

 脆弱性の修正に関してセキュリティ専門家から批判を受けているベンダーは、Oracleだけではない。2022年6月、セキュリティベンダーTenableは、Microsoftのクラウドサービス群「Microsoft Azure」に見つかった脆弱性について、Microsoftの姿勢に問題があったと指摘した。具体的には、脆弱性の修正は迅速だったものの、ユーザー企業への情報提供が不十分であり、「コミュニケーションを軽視していた」とTenableは言う。

 Intelは、同社CPU(中央演算処理装置)の脆弱性を悪用した攻撃活動「Hertzbleed」を巡って厳しい視線を受けている。同社は脆弱性の報告を受けつつ、修正に動かず、修正期間の基準とされる90日が過ぎてもパッチを公開しなかった。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia マーケティング新着記事

news175.jpg

日清食品がカップ麺の1〜5位を独占 2024年、最も手に取られた新商品は?
カタリナマーケティングジャパンは、カタリナネットワーク内小売店における年間売り上げ...

news070.jpg

「イカゲーム」人気にドミノ・ピザも便乗 NetflixとCM共同制作の狙いは?
ケイト・トランブル氏がDomino’sのCMO(最高マーケティング責任者)に正式に就任して初...

news082.jpg

2024年記憶に残った「生成AI活用事例」は? 課長以上に聞くマーケトレンド
アイブリッジは、マーケティング業務に携わっている従業員数100人以上の企業在籍の課長以...