「AIOps」はデータをフィルタリングしたり故障発生を予測したりするだけではなく、さまざまな分野に活用できる。本稿はマイクロサービスアーキテクチャや、セキュリティにおける活用の可能性を探る。
企業のシステムにおいて起きている一つの変化は、システムが非常に複雑化していることだ。例えば複数のモジュール(マイクロサービス)を使ってアプリケーションを作る「マイクロサービスアーキテクチャ」は、その代表的なものだと言える。マイクロサービスアーキテクチャでは、あるマイクロサービスが別のマイクロサービスを呼び出すように組まれることがあり、呼び出しのプロセスは複雑になりやすい。この複雑な仕組みを「AIOps」(AI for IT Operations)によって解消できる可能性がある。
システム運用にAI(人工知能)技術を取り入れるAIOpsは、マイクロサービスの呼び出しのプロセスを抽象化することで、複雑に連動する挙動を回避できる。呼び出し元のマイクロサービスは、呼び出しに必要な一連のメタデータ(対象となるデータの属性を示す情報)を定義する。AIOpsツールは全てのマイクロサービスに共通するデータにアクセスでき、マイクロサービスによる定義に対応する機能を照合することで、呼び出しのプロセスは完了する。この場合、AIOpsツールがマイクロサービスアーキテクチャにおけるデータ収集サービスとなることで仕組みが簡素化する。AIOpsツールは、例えば決済サービスなどの外部システムにデータを引き渡しながら、マイクロサービスの全挙動を追跡する。結果的に、企業はマイクロサービスアーキテクチャにAIOpsを取り入れることで、リソースの量やコストを最適化できる。
AIOpsツールはさまざまなデータソースを監視し、分析、パターンマッチング、ヒューリスティック(正解に近い解の発見方法)などを実行する。これはセキュリティの領域で何が起こっているのかを特定するのに適する。将来的には例えば、
などをある程度検知できる可能性はある。ただしAIOpsツールがセキュリティのトラブルを直接解消するとは考えにくい。一方で被害の軽減策を講じたり、原因を追究したりすることにAIOpsツールを使える可能性がある。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
デジタルファーストの世界が到来し、技術的なニーズが高まる一方、ITサービスとIT運用がサイロ化し、イノベーションの妨げになっているケースは少なくない。この問題を解消するための「3つのアプローチ」とは?
世界的な混乱によりビジネス環境が厳しさを増す中、企業が生き残るにはレジリエンスと事前対応力が重要になる。ITサービスと運用においても見直しが求められ、生成AIや自動化による組織運営の効率化が必要とされている。
近年、SaaS利用が加速する中、「誰がどのサービスを使っているのか不明」「退職者のアカウントが残っている」といった管理上の問題が顕在化している。そこで本資料では、SaaSのアカウント管理を効率的に行う方法を紹介する。
今日、企業は俊敏かつ継続的なサービスを求められており、顧客離れやブランド価値の毀損につながるシステム停止は絶対に避けるべき要件となっている。そこで重要となるのが、データ保護とBCDR(事業継続性とディザスタリカバリー)である。
組織経営の存続を左右する「システム障害」だが、これまではその対策を単なるコスト要因と見なす風潮が強かった。しかし新世代のビジネスリーダーたちは重大な経営課題としてシステム障害に向き合い、さまざまな対策を実践しているという。
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。