Cohesityのバックアップに“大満足”の産業機器メーカー その理由は?複雑化するバックアップ【後編】

フランスの産業機器メーカーClaugerは社内のデータ量増加に伴い、バックアップシステムを刷新。Cohesityのバックアップシステムを導入した。どのような機能を持つのか。

2022年09月20日 05時00分 公開
[Yann SerraTechTarget]

 フランスの産業用冷凍冷蔵機器メーカーClaugerは、保有するデータ量の増加に伴い、バックアップシステムの刷新を決意。新しいシステムとして検討したのが、バックアップツールベンダーCohesityが提供するバックアップシステムだった。

Cohesityのバックアップに大満足――その理由は?

 Claugerは概念実証(PoC)を実施後、Cohesityのアプライアンス(ハードウェアとソフトウェアを一括提供する)型のバックアップシステムを3ノード注文し、データセンターに導入した。その総容量は200TBになる。加えて同社は、冗長性を確保するために追加で3ノードを注文し、これら2つのノード群間で非同期レプリケーションを設定した。

 非同期レプリケーションでは、2つのノード群に同時に書き込むわけではない。ただし、「2つ目のノード群が1つ目のノード群の正確な複製になるまでの待ち時間はわずか1分だ」と、ClaugerでIT部門責任者を務めるオリビエ・ボウティ氏は説明する。

 Claugerは毎晩、45TBのデータをバックアップする。バックアップには通常2、3時間を要する。バックアップのデータは以下の場所に格納する。

  • アプライアンス内でNAS(ネットワーク接続ストレージ)用に確保した保存領域
  • 本番運用のVM(仮想マシン)を稼働させるハイパーコンバージドインフラ(HCI)のストレージ

 Cohesityのアプライアンスは、ストレージプロトコル「NVMe」(Non-Volatile Memory Express)で接続するフラッシュストレージと、HDDを組み合わせている。フラッシュストレージは、データの書き込みや、直近で書き込みがあったデータの読み取りの高速化に役立つ。

 ClaugerではユーザーがCAD(コンピュータ支援設計)ソフトウェアを使用し、300〜400個ものドキュメントを同時に開くことがある。その場合、Cohesityのアプライアンスのパフォーマンス(データの書き込みや読み込みの速度)は低下する可能性がある。Claugerはこうした用途にはCohesityのアプライアンスを使用せず、代わりにDAS(直接接続型ストレージ)を使用する。このような特殊な例を除いて、Claugerの全従業員は運用するドキュメントをCohesityのアプライアンスに保存する。

 Cohesityのバックアップシステムの管理画面は、ストレージ容量の使用状況をグラフィカルに表示する機能を持つ。ボウティ氏は追加容量を購入するのは空き容量が20%まで低下したときだと話すが、そのような状況に陥ったのは2018年以降一度だけだという。

 Cohesityのアプライアンスには24TB、48TB、96TBの容量のストレージブレード(複数台のHDDを実装するための基板)を8台搭載できる。筐体(きょうたい)が全て埋まったら別の筐体を用意すればいい。約700TBのシステム上限に到達するまで、搭載するストレージブレードを増やすことが可能だ。

 ボウティ氏はCohesityのバックアップシステムに満足しており、Claugerの米国支社にも同製品を導入する計画だと話す。

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