テレワークに移行したことを機に、バックアップシステムを見直した米国の2年制大学MVCC。同校のITインフラの責任者は、ある理由からテープにもクラウドストレージにも不満を持った。最終的に下した決断とは。
米国の2年制大学Moraine Valley Community College(MVCC)は、テープシステムをバックアップに使用してきた。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)でテレワークに移行したことをきっかけにして、同校でITインフラの責任者を務めるデニス・セージ氏の怒りは噴出した。
テープシステムはMVCCのテレワークには向いていなかった。同校は遠隔でテープを保管するために、業者に毎週テープを受け渡していた。この段取りをテレワークで実施するのは困難だった。テープへのバックアップ作業や、テープからデータを復旧するに時間がかかることにも同校は不満だった。
セージ氏はテープシステムの代替として、クラウドストレージの利用を検討した。「Amazon Web Services」(AWS)と「Microsoft Azure」のクラウドストレージも候補にした。だが使用頻度の高いデータを保存する「ホットストレージ層」と、使用頻度の低いデータを保管する「コールドストレージ層」の利用料金が異なり、費用を予測しにくかった。
概して教育機関の予算は厳しいため、予測可能性が好まれる傾向にある。セージ氏は、クラウドストレージには5年前後の最低契約期間が設けられていることもある点に気付いた。これでクラウドストレージに対するセージ氏の怒りは増した。
MVCCが採用したのは、Wasabi Technologiesのクラウドストレージだ。セージ氏は「1年間という契約期間が用意されているのが魅力的だった」と語る。他のクラウドストレージに比べて、低価格なのも評価した点だ。Wasabiのクラウドストレージを試用してみて、テープシステムより状況が悪化することはないと判断した。従来、テープの保管場所との往復には4時間もかかっていた。それがなくなるだけでも大きな改善だった。
新たなバックアップシステムの運用をMVCCが開始したのは2020年のことだった。テープシステムは廃止した。代わりに2台のオンプレミスのストレージと、Rubrikのバックアップサービスを使用。これに加え、遠隔のバックアップ用としてWasabiのクラウドストレージを併用している。
バックアップシステムを更改したことで、MVCCは手動によるバックアップの作業負荷を軽減することができた。「パンデミックのさなかにもかかわらず、素晴らしい選択ができた」とセージ氏は話す。
MVCCにはテープシステムの運用を継続する選択肢もあった。だがそれを決断できなかったのは、セージ氏が「現代のバックアップと復元には迅速さが求められる」と考えているからだ。同校は今後、無線LANの帯域幅の拡張を含め、ITインフラの変更や運用を迅速に進める。バックアップシステムも同様だ。「RubrikとWasabiのサービスであれば、変化に迅速に対処できる」(セージ氏)
セージ氏は、製品やサービスの購買においてエンドユーザーのニーズを考慮することを重視する。「RubrikとWasabiのサービスの組み合わせであれば、災害復旧(DR)の時間を短縮できるだけではなく、働き方や学び方の変化にも迅速に対処できる」と同氏は期待する。
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