精神疾患患者との向き合い方を「VR」で学ぶ意味とは? 体験した医学生に聞くVRを活用した医学教育の可能性【後編】

シンガポール国立大学の医学部NUS Medicineは「VR」を使い、精神疾患患者への適切なケア方法に関する教育プログラムを進めている。その効果はどうなのか。試験運用に参加した医学生に聞いた。

2022年09月23日 05時00分 公開
[Aaron TanTechTarget]

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 医学生と看護学生向けに、「VR」(仮想現実)技術を活用した教育プログラムを提供する――。こうした取り組みを進めるのが、シンガポール国立大学(NUS:National University of Singapore)の医学部に当たるYong Loo Lin School of Medicine(以下、NUS Medicine)だ。このVR教育プログラムを通じて、NUS Medicineは医学生や看護学生に、精神疾患患者に対処する方法を学んでもらう。

医学生が語る「VRで医学教育」の“本音の評価”

 NUS MedicineのVR教育プログラム「Virtual Reality in Agitation Management」(VRAM)の試験運用は、2021年8月にスタートした。主に精神医学やメンタルヘルスについて学ぶ医学生と看護学生の少人数グループを対象に試験運用を始めたという。同校の心理医学科助教で、VRAMを率いるサイラス・ホー氏のチームは、チームに所属する学生や他の教育関係者からのフィードバックを取り入れ、VRAMの調整を重ねた。

 試験運用の前後に実施したアンケートによると、学生の約90%が、興奮状態にある患者の管理やこうした患者とのコミュニケーションに自信がついたと回答している。「VRAMに参加するまでは、興奮した患者にどのように接すればよいか、そのような状況でチームメンバーはどのように協力し合えばよいかを学んだことがなかった」と、VRAMの試験運用に参加した医学生のリム・キア・テンさんは言う。

 「興奮した患者に対面し、プレッシャーにさらされたとき、『全員の安全を守るため、何を言い、何をすべきか』を知ることは非常に重要だ」とリムさんは話す。VRAMを体験することで、安全な空間でチューターからの細かい指導の下、興奮状態の患者と向き合うことができたとリムさんは付け加える。

 NUSはVRAM向けにヘッドマウントディスプレイ(HMD)を13個用意し、学生が自宅で練習できるよう貸し出している。デスクトップPCに接続しなくてもHMDは使用可能だ。今後は毎年、医学生300人と看護学生300人がVRAMで学ぶ。

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