AmazonのiRobot買収で「Alexa端末」がさらに売れる“なるほど”な理由AmazonのiRobot買収は喜劇か悲劇か【第2回】

Amazon.comがiRobotを買収することでAmazon.comの音声アシスタント「Alexa」を搭載した端末がさらに売れる可能性がある、とアナリストは指摘する。その理由は。

2022年10月11日 08時15分 公開
[Makenzie HollandTechTarget]

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 Amazon.comは2022年8月、ロボット掃除機「Roomba」の製造元であるiRobotを買収すると発表した。これを受け20団体以上の人権団体とデータプライバシー擁護団体が「エンドユーザーのプライバシーを損ね、市場の構成な競争を脅かす可能性がある」と懸念を表明し、連邦取引委員会(FTC)に異議を申し立てた。

だからAmazonのiRobot買収で「Alexa搭載端末」が売れる

 調査会社Gartnerでアナリストを務めるビル・レイ氏は、「Amazon.comは自社の顧客の多くが音声アシスタント『Alexa』搭載端末を1台以上所有し、それをキッチンに置く人が多いことを既に把握している」と話す。

 Amazon.comがiRobotを買収すると、Amazon.comはRoombaが取得したデータから「どの部屋にAlexa搭載端末があるか」というエンドユーザーの住居に関する情報を入手できるようになる可能性がある。例えばエンドユーザーの住居に部屋が5つあるにも関わらず、Alexa搭載端末を3台しか持っていないことが分かれば、残りの部屋で使うためのAlexa搭載端末を買い足すよう宣伝することが可能になる、とレイ氏は説明する。

 重要な情報は、エンドユーザーが「特定の部屋にAlexa搭載端末を置いていない理由」だ。「置いていない部屋はどの部屋で、間取りや家具の配置がどうなっているのかが分かれば、Amazon.comはその部屋に合うAlexa搭載端末を売り込める」(レイ氏)

 複数の団体が連名でFTCに宛てた書簡では、Amazon.comが持つ広範なデータ収集能力がiRobotを買収することでさらに力を増すことに懸念を示していた。書簡に名を連ねるのは、人権・データプライバシー擁護団体のFight for the Futureや、電子フロンティア財団(Electronic Frontier Foundation)、ジョージタウン大学(Georgetown University)のプライバシー&テクノロジーセンターなどだ。

 書簡の主張はこうだ。Amazon.comが“侵入的”なスマートホームシステムにiRobot製品を連携させれば、エンドユーザーの住居に関するさらに多くのデータを収集することになる。そこにエンドユーザーの習慣や健康に関するプライベート情報も含まれるようになると、人権と安全が脅かされる可能性がある。


 第3回は、Amazon.comのiRobot買収によって公正な競争が脅かされる可能性について考察する。

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