もしAmazonが建設業界に進出したら【前編】
“破壊者”Amazon、次の標的は建設業界か 「Alexa」「Key」が参入の布石?
Amazon.comが建設業界への参入を狙っているとの見方がある。その根拠として専門家は、同社が「Alexa」「Key by Amazon」などのIoT関連製品やサービスに力を入れていることを挙げる。どういうことなのか。
Amazon.comが建設業界への参入を始め、その規模の拡大を目指していると専門家は推測する。デジタル化が遅れている建設業界の企業は、生き残りを掛けてデジタル時代に適応しなければならない。Amazon.comの動きはまだ初期段階だが、建設業界の変革に影響を与えるという指摘がある。
「Alexa」「Key」がAmazon建設業界進出への布石? その理由は
建設業界をはじめ、さまざまな業界の法人および個人事業主を対象としたAmazon.comのマーケットプレース「Amazon Business」(Amazonビジネス)の売上高は、2023年には310億ドルに達すると投資銀行RBC Dominion Securities(RBC Capital Marketsの名称で事業展開)は予想する。これは2015年度の売上高10億ドルと比べると、大幅な飛躍だ。
Amazon.comはAmazon Businessで工具や金物といった間接材を扱う他、IoT(モノのインターネット)機器を利用した家庭用セキュリティシステムの販売も手掛ける。こうした動きを基に、Amazon.comが建設業界へのさらなる参入を計画しているという臆測が強まっている。
現時点でAmazon.comは、建設業界への参入計画を明らかにしていない。ただし前述の通り、その行動から同社がどのような方向性を目指しているかが垣間見える。
仮想アシスタント「Alexa」やAlexaとの連携が可能なIoT家電、ホームセキュリティシステム「Ring」、不在時自宅配達システム「Key by Amazon」など、Amazon.comはさまざまなIoT関連製品/サービスを提供している。これらの製品/サービスは、同社が建物向けサービスを不動産所有者に提供する足掛かりになると、テンプル大学(Temple University)のフォックスビジネススクール(Fox School of Business)のスボーダ・クマール教授は語る。
既に自宅のさまざまな端末とAlexaがつながっているとしたら「宅内のあらゆるものをAmazon.comが提供する製品に変えることは理にかなっている」とクマール氏は指摘。そこを足掛かりに建設に目を付けたとしても「納得ができる」と説明する。
クマール氏は、Amazon.comが独自に建設会社や建設部門を設置するとは考えていない。同社は既存の消費者向けサービスのノウハウと規模を生かしつつ、不動産の購入者や所有者に新しいデジタル体験を提供すると、同氏は予想する。「消費者はAmazon.comから日用品を購入するだけでなく、家を購入できるようになる可能性がある」とクマール氏は語る。
Amazon.comか、建設業界の企業か、他の新規参入企業か。どの企業が今後建設業界をリードするかはまだ分からない。「建設業界は今よりも優れた仕事を成さなければならない。首を絞めているのは業界自体であり、Amazon.comではない」(クマール氏)
米TechTargetは、Amazon.comに複数回コメントを求めたが返答はない。ただしAmazon.comが建設業界における影響力を強めていることは他の専門家も指摘している。米国の冷暖房配管および設備組合であるPlumbing-Heating-Cooling Contractors—National Association(PHCC)のエグゼクティブバイスプレジデントを務めるマイケル・コップ氏は、同組織のWebサイトに2019年、次のように記載した。
Amazon.comは、当組合が取り組んでこなかった方法でこの業界を変えています。サプライチェーン管理やオンラインによる注文・返品に影響を与え、1日での配送や同日配送を実行し、同時に実店舗に対する顧客の期待がオンラインの利便性に変わるよう促しています
次回は、建設業界のデジタル化の後れと克服すべき課題について紹介する。
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