プログラミング言語「Carbon」を開発するGoogleは、Carbonを「『C++』の後継」だと捉えている。CarbonがC++に対して果たす役割について、有識者の寄稿を基に探る。
Googleは、同社が開発する「Carbon」を、「C++」の後継となるプログラミング言語だと位置付けている。Carbonが目指すものについて、ソースコード品質管理ベンダーSonarSourceで開発者を支援するフィル・ナッシュ氏に寄稿してもらった。
「CarbonはC++に存在するメモリの脆弱(ぜいじゃく)性を解消する」と考える人がいる。実際には、Carbonはメモリの安全性を完全に確保するわけではない。ただし幾つかの改善策は提供している。例えば未定義の変数を特定しやすくするといった改善だ。ただしCarbonは、C++との相互運用性を保持することを目指している。そのため原稿執筆時点では、Carbonには少なからずメモリの安全性に関する問題が存在する。
プログラミング言語が動作を定めていない「未定義動作」をプログラムが実行すると、想定外の挙動が起こり得る問題も、完全に取り除けているわけではない。未定義動作はプログラミングの自由度をもたらす点でC++の大きな特徴であり、同時に大きな問題でもある。異なる思想を持つ別のプログラミング言語を使わない限り、未定義動作を完全に取り除くことは難しい。
Carbonは理路整然としたクリーンなソースコードを優先する人にとっては、優れた選択肢だ。だがこれらの問題を考えると、静的解析ツールでソースコードを改善する余地はある。
繰り返しになるが、CarbonはC++の代わりにはならない。C++は進化の過程で幾つかの大きな壁にぶつかってきた。これらの壁を乗り越えるには、大半のC++ユーザーを切り捨てることを覚悟した上で、機能改善の優先順位を変えなければならない。
優先順位の大幅な変更を回避する目的で、C++はバージョンを導入したが、これはうまくいかなかった。C++自身の複雑さに負けたのだ。C++はこれからも存在し続け、進化し続け、重要な言語であり続けると考えられる。ただし、その限界は現実に迫っており、避けては通れない。
C++の成功には、Carbonの成功が不可欠だ。
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