昆虫養殖の効率化に人工知能(AI)技術を生かす動きが活発化している。コオロギ食をはじめとする昆虫食の世界的ブームを受けて、食用昆虫の安定生産が重要になる中、AI技術は昆虫養殖にどう役立つのか。
環境に配慮した食料として台頭しつつあるのが、コオロギをはじめとする昆虫だ。昆虫養殖場支援ベンダーのEntoverseは、コオロギの行動データを分析した結果を基に、養殖場の改善を推し進めている。同社は食用昆虫(食料としての昆虫)や環境保全の分野において、人工知能(AI)技術を活用しており、同様の動きは世界的に広がっている。具体的にはどのような動きがあるのか。
昆虫の遺伝子研究に取り組む研究所が次々に誕生している。こうした研究所は、コオロギやアメリカミズアブ(BSF:Black Soldier Fly)といった昆虫を低温に強くしたり、より大きくしたりするために、遺伝子操作をすることがある。EntoverseのAIエンジンは、こうした遺伝子操作やその他の実験を監視するのに役立つと、同社の共同創設者兼CTO(最高技術責任者)であるドミトリー・ミハイロフ氏は説明する。
コオロギの成長促進の手段として、Entoverseが医薬品製造用のAIモデルを基に構築したのが、餌に含める添加物のレシピを提案するAIモデルだ。ミハイロフ氏によると、同社はインドネシアのバンドン工科大学(Institut Teknologi Bandung)との共同実験を終えて、ユーザー企業にこのAIモデルを提供し始めている。
Entoverseが目指すのは、昆虫養殖場における温室効果ガス排出量の削減に貢献することだ。その実現には「温室効果ガスの排出量を定期的に測定して、実際に削減できていることを証明する必要がある」とミハイロフ氏は語る。
次回は、EntoverseがAIモデルのトレーニングで取り入れようとしている工夫を解説する。
米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
イノベーションの加速とともに、セキュリティやレジリエンスの維持などさまざまな課題が顕在化している金融サービス業界。課題の中身を確認しながら、その解決策として期待されるAI活用の有効性や実装方法を紹介する。
金融業界においてAIツールの活用が進んでいる。一方で、セキュリティ面の不安を抱えている金融サービス企業は少なくない。このような懸念は、リスクとメリットを考慮して、AIと機械学習の戦略を策定することで解消できる。
AI技術は進化を続け、人間の仕事の一部はAIによって代替可能になる。AI技術に代替されにくいITエンジニアの職種とは何か。ITエンジニアはどのようなキャリアを歩むべきなのか。
AI活用には処理スピードが重要となる。特に、大規模言語モデルのトレーニングでは、長期的に稼働できる強力なコンピュート性能も求められる。そこで注目したいのが、AIモデルのトレーニングを加速させるスーパーコンピューティングだ。
AIを使ったイノベーションの推進が期待されているが、組織全体にAIを導入するためにはいくつかの課題を解消することが必要だ。開発や分析を担うエンジニアやデータサイエンティストのニーズに応えながら、組織全体にAIを導入する方法とは?
お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...
Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。