クラウドサービスの利用拡大による回線逼迫に直面した北里研究所は、解決策としてネットワーク構成を見直し、回線を「Colt IP Access」に刷新した。その成果とは。
北里大学や北里大学病院を設置する学校法人の北里研究所は、キャンパス内の回線逼迫(ひっぱく)に伴い、回線とネットワーク構成を見直した。北里研究所が新しく導入した回線は、どのような効果をもたらしたのか。回線導入の成果を紹介する。
2021年10〜12月に掛けて北里研究所は、東京都の白金キャンパスと神奈川県の相模原キャンパス、青森県の十和田キャンパスに、通信事業者Coltテクノロジーサービスのインターネット回線「Colt IP Access」を導入した。学生や教職員が利用するクラウドサービスの通信を、各キャンパスからインターネットに直接出すことで、従来から利用する回線の逼迫を回避する狙いだ。
白金キャンパスと相模原キャンパスには1Gbps、十和田キャンパスには100Mbpsの帯域(回線容量)保証回線を採用した。同所のICT推進センター係長を務める有井宏敏氏によると、規模の最も大きい相模原キャンパスでは学生約5600人、教職員約8000人(非常勤含む)の計約1万3000人のユーザーがColt IP Accessを利用するという。
「トラフィック(ネットワークを流れるデータ)が日々増大する中で、Colt IP Accessに振り分けた通信はその影響を受けず、スムーズに利用できている」。有井氏はColt IP Accessの導入効果を、こう説明する。
Colt IP Accessに対する要望としては「アプリケーションや宛先を指定した、細かな帯域制御が回線側で実施できれば便利だ」と有井氏は話す。今後インターネット利用がさらに増え、回線が逼迫する事態に陥った際に、優先度の低い通信に対して使用する帯域を抑えることができれば、重要な通信に影響を及ぼしにくい運用が可能となる。
北里研究所はColt IP Accessと同時に、帯域制御機能を持つSD-WAN(ソフトウェア定義WAN)を導入した。SD-WANではなく回線で帯域制御をするメリットとして、有井氏は「回線事業者への運用委託による運用負荷軽減」を挙げる。SD-WAN機器は定期的な入れ替えが発生する。後継機種が、入れ替え前の機種と同じ設定や挙動が可能とは限らない。「回線で帯域制御をした場合は、回線事業者が動作を保証したり、仕様変更の場合は説明してくれたりするので、安心して使うことができる」(同氏)
ネットワークに関する今後の取り組みとして、有井氏はキャンパス間通信も含めた回線の冗長化を挙げる。「災害時や回線の障害発生時でも通信を止めないようにし、BCP(事業継続計画)を強化したい」(同氏)
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