北里研究所は“クラウドで回線逼迫”解消に「Colt IP Access」導入 効果は?北里研究所のネットワーク更改事例【後編】

クラウドサービスの利用拡大による回線逼迫に直面した北里研究所は、解決策としてネットワーク構成を見直し、回線を「Colt IP Access」に刷新した。その成果とは。

2023年08月07日 05時15分 公開
[梅本貴音TechTargetジャパン]

 北里大学や北里大学病院を設置する学校法人の北里研究所は、キャンパス内の回線逼迫(ひっぱく)に伴い、回線とネットワーク構成を見直した。北里研究所が新しく導入した回線は、どのような効果をもたらしたのか。回線導入の成果を紹介する。

「Colt IP Access」導入の効果とは

 2021年10~12月に掛けて北里研究所は、東京都の白金キャンパスと神奈川県の相模原キャンパス、青森県の十和田キャンパスに、通信事業者Coltテクノロジーサービスのインターネット回線「Colt IP Access」を導入した。学生や教職員が利用するクラウドサービスの通信を、各キャンパスからインターネットに直接出すことで、従来から利用する回線の逼迫を回避する狙いだ。

 白金キャンパスと相模原キャンパスには1Gbps、十和田キャンパスには100Mbpsの帯域(回線容量)保証回線を採用した。同所のICT推進センター係長を務める有井宏敏氏によると、規模の最も大きい相模原キャンパスでは学生約5600人、教職員約8000人(非常勤含む)の計約1万3000人のユーザーがColt IP Accessを利用するという。

 「トラフィック(ネットワークを流れるデータ)が日々増大する中で、Colt IP Accessに振り分けた通信はその影響を受けず、スムーズに利用できている」。有井氏はColt IP Accessの導入効果を、こう説明する。

「回線での帯域制御」に期待

 Colt IP Accessに対する要望としては「アプリケーションや宛先を指定した、細かな帯域制御が回線側で実施できれば便利だ」と有井氏は話す。今後インターネット利用がさらに増え、回線が逼迫する事態に陥った際に、優先度の低い通信に対して使用する帯域を抑えることができれば、重要な通信に影響を及ぼしにくい運用が可能となる。

 北里研究所はColt IP Accessと同時に、帯域制御機能を持つSD-WAN(ソフトウェア定義WAN)を導入した。SD-WANではなく回線で帯域制御をするメリットとして、有井氏は「回線事業者への運用委託による運用負荷軽減」を挙げる。SD-WAN機器は定期的な入れ替えが発生する。後継機種が、入れ替え前の機種と同じ設定や挙動が可能とは限らない。「回線で帯域制御をした場合は、回線事業者が動作を保証したり、仕様変更の場合は説明してくれたりするので、安心して使うことができる」(同氏)

 ネットワークに関する今後の取り組みとして、有井氏はキャンパス間通信も含めた回線の冗長化を挙げる。「災害時や回線の障害発生時でも通信を止めないようにし、BCP(事業継続計画)を強化したい」(同氏)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

譁ー逹€繝帙Ρ繧、繝医�繝シ繝代�

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

VPNが「もはや時代遅れ」であるこれだけの理由

VPN(仮想プライベートネットワーク)は、セキュリティの観点から見ると、もはや「安全なツール」とは言い切れない。VPNが抱えるリスクと、その代替として注目されるリモートアクセス技術について解説する。

製品資料 アルテリア・ネットワークス株式会社

VPNの3つの課題を一掃する、次世代インターネットVPNサービスの実力

インターネットVPNサービスの市場規模は増加傾向にあるが、パフォーマンスやセキュリティなどの課題が顕在化している。VPNの利用状況などのデータを基にこれらの課題を考察し、次世代インターネットVPNサービスの利点と可能性を探る。

製品資料 株式会社インターネットイニシアティブ

自治体がMicrosoft 365を利用する際に検討したい、専用回線の導入という選択肢

企業だけではなく自治体でもクラウド活用が進んでいる昨今。中でも業務利用が多いMicrosoft 365には、Microsoft Teamsなど高速かつ安定した回線を必要とするサービスがある。それらを快適に利用するにはどうすればよいのか。

市場調査・トレンド ゼットスケーラー株式会社

ファイアウォールとVPN中心のセキュリティアプローチは危険? 4つの理由を解説

代表的なセキュリティツールとして活用されてきたファイアウォールとVPNだが、今では、サイバー攻撃の被害を拡大させる要因となってしまった。その4つの理由を解説するとともに、現状のセキュリティ課題を一掃する方法を解説する。

製品資料 日本ヒューレット・パッカード合同会社

複雑化したネットワークシステム、クラウド並みのアジリティを確保するには?

顧客や従業員のエクスペリエンスを向上させるとともに、インベーションを促進するには「アジリティ」の強化が鍵となる。しかし昨今、組織のネットワークは複雑化が著しく、アジリティの確保すら難しい。そこで求められるのが「簡素化」だ。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...