生成AIブームが招いた「CRMのAIチャットbot“多過ぎ”問題」生成AI「Dynamics 365 Copilot」が変えるCRMの常識【中編】

CRMベンダーの間で、自社製品にAIチャットbot機能を用意する動きが広がっている。実際に何が起きているのか。主要ベンダーの動きを簡単にまとめた。

2023年05月30日 06時15分 公開
[Mary ReinesTechTarget]

 Microsoftの「Dynamics 365 Copilot」は、CRM(顧客関係管理)パッケージをはじめとする業務アプリケーションに、「ジェネレーティブAI」(生成AI)を組み込むビジネス支援ツールだ。生成AIは、テキストや画像などを自動生成するAI(人工知能)技術を指す。

 生成AIは、CRMパッケージの在り方を変える可能性があるとの見方がある。CRM業界にどのようなインパクトをもたらしているのか。

CRM業界で起こっている「AIチャットbot多過ぎ問題」

 Dynamics 365 Copilotは「CRM業界に大きなインパクトを与える可能性がある」と、調査会社Technology Evaluation Centersのアナリストを務めるプレドラグ・ヤコヴリエヴィッチ氏は言う。AI技術によってさまざまな業務を自動化し、人を生産性の低い作業から解放したい――。こうしたニーズを持つユーザー企業にとって、Dynamics 365 Copilotは魅力的に映るとヤコヴリエヴィッチ氏はみる。

 Microsoft以外のCRMベンダーも、急ピッチで生成AIを自社製品に組み込もうとしている。CRMベンダーのPegasystemsは2023年3月、同社のCRMパッケージ群「Pega Infinity」に生成AIを利用したAIチャットbot機能の追加を発表。Salesforceは2023年3月、同社CRMサービスに組み込むAIチャットbot「Salesforce Einstein」を発表した。

 Dynamics 365 Copilotも、MicrosoftのCRMパッケージにAIチャットbotの機能を追加する。「似たAIチャットbotの発表が相次ぎ、ユーザー企業が興味を失う恐れがある」。ヤコヴリエヴィッチ氏は、こう指摘する。

 調査会社Futurum Researchのアナリストを務めるダニエル・ニューマン氏は、Dynamics 365 Copilotの登場をきっかけに、「CX」(顧客体験価値)分野でAI技術を利用した機能が急速に充実すると見込む。「AI技術の進化とともに機能の精度が上がり、ユーザー企業に浸透やすくなる」(ニューマン氏)


 後編は、Dynamics 365 Copilotによって何ができるかを見る。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia マーケティング新着記事

news132.jpg

ハロウィーンの口コミ数はエイプリルフールやバレンタインを超える マーケ視点で押さえておくべきことは?
ホットリンクは、SNSの投稿データから、ハロウィーンに関する口コミを調査した。

news103.jpg

なぜ料理の失敗写真がパッケージに? クノールが展開する「ジレニアル世代」向けキャンペーンの真意
調味料ブランドのKnorr(クノール)は季節限定のホリデーマーケティングキャンペーン「#E...

news160.jpg

業界トップランナーが語る「イベントDX」 リアルもオンラインも、もっと変われる
コロナ禍を経て、イベントの在り方は大きく変わった。データを駆使してイベントの体験価...