CRMベンダーの間で、自社製品にAIチャットbot機能を用意する動きが広がっている。実際に何が起きているのか。主要ベンダーの動きを簡単にまとめた。
Microsoftの「Dynamics 365 Copilot」は、CRM(顧客関係管理)パッケージをはじめとする業務アプリケーションに、「ジェネレーティブAI」(生成AI)を組み込むビジネス支援ツールだ。生成AIは、テキストや画像などを自動生成するAI(人工知能)技術を指す。
生成AIは、CRMパッケージの在り方を変える可能性があるとの見方がある。CRM業界にどのようなインパクトをもたらしているのか。
Dynamics 365 Copilotは「CRM業界に大きなインパクトを与える可能性がある」と、調査会社Technology Evaluation Centersのアナリストを務めるプレドラグ・ヤコヴリエヴィッチ氏は言う。AI技術によってさまざまな業務を自動化し、人を生産性の低い作業から解放したい――。こうしたニーズを持つユーザー企業にとって、Dynamics 365 Copilotは魅力的に映るとヤコヴリエヴィッチ氏はみる。
Microsoft以外のCRMベンダーも、急ピッチで生成AIを自社製品に組み込もうとしている。CRMベンダーのPegasystemsは2023年3月、同社のCRMパッケージ群「Pega Infinity」に生成AIを利用したAIチャットbot機能の追加を発表。Salesforceは2023年3月、同社CRMサービスに組み込むAIチャットbot「Salesforce Einstein」を発表した。
Dynamics 365 Copilotも、MicrosoftのCRMパッケージにAIチャットbotの機能を追加する。「似たAIチャットbotの発表が相次ぎ、ユーザー企業が興味を失う恐れがある」。ヤコヴリエヴィッチ氏は、こう指摘する。
調査会社Futurum Researchのアナリストを務めるダニエル・ニューマン氏は、Dynamics 365 Copilotの登場をきっかけに、「CX」(顧客体験価値)分野でAI技術を利用した機能が急速に充実すると見込む。「AI技術の進化とともに機能の精度が上がり、ユーザー企業に浸透やすくなる」(ニューマン氏)
後編は、Dynamics 365 Copilotによって何ができるかを見る。
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