企業のデータセンターで利用が拡大してきたSSD。以前はそのストレージにデータ削減をしない傾向があったが、状況は変わってきた。背景にある技術進化やメリットとは。
SSDの普及が進む中、企業のストレージ運用に変化が見られる。従来、企業はSSDに「データ削減」を適用することに消極的だった。SSDの利用拡大やストレージの各種進化によって、その状況は変わりつつある。技術進化のポイントや、データ削減によるメリットを整理する。
オールフラッシュストレージ(SSDのみで構成するストレージアレイ)の利用が拡大し、それに合わせてストレージのデータ削減がデータセンターで広く使われるようになってきた。データ削減をする場合は、機能の実行に伴うオーバーヘッド(負荷)が生じがちだ。アプリケーションに悪影響を与える懸念があるため、これまで企業はSSDのデータ削減には消極的だった。
その状況が変わってきた背景にあるのは、まずはSSDの各種パフォーマンスの改善だ。特筆すべき進歩は、IOPS(1秒間に処理する入出力数)とレイテンシ(遅延)のパフォーマンス向上だと言える。これに伴い、SSDでデータ削減を実行する際のオーバーヘッドを抑制しやすくなった。
進化したのは、ストレージ製品そのものだけではない。SSDは新世代のインタフェース規格に準拠することで、より高速なデータ転送が可能になってきた。インタフェース規格「PCI Express 4.0」(PCIe 4.0)に準拠したことが大きかった。その後はPCIe 4.0の後継規格である「PCI Express 5.0」(PCIe 5.0)への準拠が始まり、2022年には「PCI Express 6.0」(PCIe 6.0)の仕様策定が完了した。PCIeの規格は、基本的には世代を経るごとにデータ転送速度が2倍になっている。
SSDを利用したストレージシステムのパフォーマンス向上には、ストレージ接続規格「NVMe」(Non-Volatile Memory Express)や、「NVMe-oF」(NVMe over Fabrics)も貢献している。NVMe-oFは、NVMeをイーサネットやファイバーチャネル(光ファイバーや同軸ケーブルを使うデータ転送技術)に拡張する仕組みだ。基本的にNVMeは、インタフェースにPCIeを使用することでSSDのパフォーマンスを最大限に引き出せる仕様になっている。
こうした一連の進化があり、SSDのパフォーマンスを維持しながら、データ削減を実行するストレージシステムが実現するようになった。
データ削減時にSSDのパフォーマンスを維持しやすくなった背景には、データ削減の技術進化も貢献している。オールフラッシュストレージは、以下の機能を備えることが一般的だ。
ストレージベンダーはこうした機能を取り入れながら、ストレージのパフォーマンスを維持しつつデータ削減を実行できる仕組みの改良を続けている。
データ削減を実行することで、以下のようなメリットが期待できる。
オールフラッシュストレージでデータ削減を実行することで、メモリセルへのデータの書き込みと消去のプロセスを意味する「P/Eサイクル」の回数を減らし、SSDの寿命を延ばし、それが全体のコスト抑制につながる。データ転送の負荷を軽減する効果も見込める。これらの結果として、より多くのアプリケーションでSSDの利用を検討できるようになる。
データ削減は依然としてSSDのパフォーマンスに悪影響を与え得る機能ではある。だがSSDの採用を広げることで企業が得られるメリットと比べれば、その悪影響は重大なものではない。パフォーマンスが低下する影響を考慮しても、ほとんどの場合はデータ削減を実行する価値があると言える。
第4回と第5回は、データ削減機能を備えるオールフラッシュストレージ製品を紹介する。
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