米国の非営利団体が、AI技術の規制を米政府に要求する書簡を発表した。実際にはそれ以前から、各国政府はAI技術の規制に向けて動いている。具体的な動きを整理しよう。
新興技術の危険性軽減を推進する非営利団体Future of Life Instituteは2023年3月、米政府に対して、人工知能(AI)技術の規制を要求する公開書簡を発表した。一方で米国政府などの各国政府はこれよりも前に、AI技術の規制に乗り出している。その実態とは。
「AI技術の規制に関する重要な政策構想は、既に世界で始まっている」。シンクタンクBrookings Institutionで、AIおよび新興技術研究部門のディレクターを務めるクリス・メセロール氏は、そう説明する。メセロール氏は具体的な動きとして、欧州連合(EU)の「Artificial Intelligence Act」(AI Act)や米国の「Blueprint for an AI Bill of Rights」などを例に挙げる。
EUのAI Actは、AIツールを危険性の種類ごとに分類する。例えば「求人応募者をランク付けする履歴書スキャンツール」を「危険性が高いAIツール」に分類する、といった具合だ。危険性が高いAIツールを開発するベンダーは、技術に関する法的要件に従わなければならない。AI Actは、2023年中に可決される見込みだ。
米国のBlueprint for an AI Bill of Rightsは、判断の偏り(バイアス)を引き起こすアルゴリズムの不備など、AIモデルの倫理的問題に焦点を置く。現状はガイドラインの役割を果たすが、将来的には米国のAI技術規制の基となる可能性がある。
ニューヨーク州、メリーランド州、イリノイ州の各州政府は、AI技術を使用して求職者の採用を自動化するツールを規制する法律を可決。他にも米国は2023年1月に、National Artificial Intelligence Research Resource(NAIRR)の設立計画の概要を発表した。NAIRRは、AI技術研究のためのデータやツールの利用機会拡大を目的とする研究機関だ。
メセロール氏は、Future of Life Instituteの公開書簡について「AI技術に関する、根本的に新しいガバナンス体制の構築を前提としている」と説明する。こうした前提は「全くの間違いだ」というのが、同氏の主張だ。むしろ進行中の立法を迅速化し、規制を強化することが必要だと同氏は説明する。
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