「CPU」や「GPU」の市場で競合することのあるIntelとNVIDIAは、共同でワークステーションを発表するという異例の動きに出た。両社の狙いは、本当に新型ワークステーションの発表だけなのか。
プロセッサベンダーであるIntelとNVIDIAは2023年2月、新世代ワークステーションを共同で発表するという異例の取り組みを披露した。両社は互いに「CPU」(中央処理装置)や「GPU」(グラフィックス処理装置)の市場でライバルになり得る存在だ。あえて協力体制を強調する本当の狙いはどこにあるのか。
ワークステーションとは、シミュレーションなど高負荷の計算処理ができる“高性能PC”を指す。NVIDIAとIntelが発表したワークステーションは、両社の製品群から以下を搭載する。
両社によれば、新型ワークステーションが狙うのは、人工知能(AI)技術を使ったアプリケーションやレンダリング(画像や映像の描画)、シミュレーションといった用途向けの計算速度の強化だ。業種としては、製造、映像・メディア、エンターテインメント、医療・製薬などがターゲットになる。
IntelはCPU、NVIDIAはGPUに強みを持つ。両社はある面では補完関係にあり、タッグを組むのは初めてではない。それでも今回の協力は珍しいものだと言っていい。この取り組みからは、IntelとNVIDIAの双方が、互いにある点での協力を望んでいることが推測できる。
ワークステーションにおいて特に重要になるのは、GPUよりもCPUだ。「GPUはワークステーションに不可欠だが、ワークステーションにおける計算処理の大半はCPUが担う」。調査会社J.Gold Associatesのプレジデント兼プリンシパルアナリストのジャック・ゴールド氏はそう語る。
ハイエンドのCPU市場は、IntelとAMD(Advanced Micro Devices)のほぼ独占状態だ。AMDは、CPUにもGPUにも重点を置いており、GPU市場ではNVIDIAの競合になる。「NVIDIAは、同社の主戦場でライバルとなるAMDと組むよりも、CPUの方に重点を置くIntelと組む方が合理的だ」(ゴールド氏)
NVIDIAも独自CPUを手掛けてはいるものの「Intel Xeonシリーズに相当する種類のCPUを開発する意向は、NVIDIAにはない」とゴールド氏は分析する。一方のIntelにとっては、独自GPUの開発に注力する際、NVIDIAからの協力を得やすくなる利点が見込める。
後編は、ユーザー企業がワークステーションを導入する際に考慮すべきポイントを解説する。
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