「Amazon WorkSpacesへのOfficeライセンス持ち込み」をMicrosoftが解禁 なぜ?Microsoftのクラウド向けライセンスに変化の兆しか【第4回】

Microsoftはクラウドサービスに自社ソフトウェアのライセンスを持ち込むことに制限を設けていた。AWSの「Amazon WorkSpaces」に対して、そのライセンス制約の一部を事実上緩和した。その背景には何があるのか。

2023年09月26日 07時00分 公開
[Gabe KnuthTechTarget]

 2023年8月、Amazon Web Services(AWS)のDaaS(Desktop as a Service)「Amazon WorkSpaces」に、Microsoftのオフィススイート「Microsoft Office」のライセンスを持ち込んで利用できるようになった。Microsoftは主要ベンダーのクラウドサービスに、Microsoft Officeなどの自社ソフトウェアのライセンスを持ち込むことに制約を設けていた。

Microsoftがライセンス制約を緩和した理由

 Microsoftは、なぜライセンス制約の一部を事実上解除したのか。同社は理由を明確にはしていない。一部の大口のユーザー企業が、Microsoftに圧力を掛けた可能性はゼロではない。MicrosoftがMicrosoft Officeのライセンスに設けた制約は「公正な競争を阻害する可能性がある」との見方があり、訴訟のリスクを抱えていた。

Microsoftソフトウェアの利用制限は今後どうなるのか

 2019年10月、Microsoftは自社ソフトウェアのライセンスを変更。特定クラウドベンダーが提供する専用ホストクラウドサービス(物理的にインフラを専有可能なクラウドサービス)に、Microsoftソフトウェアのオンプレミスデバイス向けライセンスを持ち込むことを制限した。ライセンス制約の対象となるクラウドベンダーを、Microsoftは「Listed Provider」と呼ぶ。

 Listed Providerは、Microsoftのライセンス制約に依然として縛られているものの、状況は変わる可能性がある。Listed Providerとして指定されたAWSやGoogleといったクラウドベンダーや、クラウドサービス向けのインフラ管理製品を提供しているVMwareやCitrix Systemsなどのパートナーは、ライセンス制約のさらなる緩和を期待している。

 とはいえ今回の変更は、AWSやAmazon WorkSpacesのユーザー企業にとって良いニュースであることは変わらない。市場の競争に不公平さをもたらすライセンス制約は、わずかながら改善された。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

From Informa TechTarget

なぜクラウド全盛の今「メインフレーム」が再び脚光を浴びるのか

なぜクラウド全盛の今「メインフレーム」が再び脚光を浴びるのか
メインフレームを支える人材の高齢化が進み、企業の基幹IT運用に大きなリスクが迫っている。一方で、メインフレームは再評価の時を迎えている。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...