Microsoftはクラウドサービスに自社ソフトウェアのライセンスを持ち込むことに制限を設けていた。AWSの「Amazon WorkSpaces」に対して、そのライセンス制約の一部を事実上緩和した。その背景には何があるのか。
2023年8月、Amazon Web Services(AWS)のDaaS(Desktop as a Service)「Amazon WorkSpaces」に、Microsoftのオフィススイート「Microsoft Office」のライセンスを持ち込んで利用できるようになった。Microsoftは主要ベンダーのクラウドサービスに、Microsoft Officeなどの自社ソフトウェアのライセンスを持ち込むことに制約を設けていた。
Microsoftは、なぜライセンス制約の一部を事実上解除したのか。同社は理由を明確にはしていない。一部の大口のユーザー企業が、Microsoftに圧力を掛けた可能性はゼロではない。MicrosoftがMicrosoft Officeのライセンスに設けた制約は「公正な競争を阻害する可能性がある」との見方があり、訴訟のリスクを抱えていた。
2019年10月、Microsoftは自社ソフトウェアのライセンスを変更。特定クラウドベンダーが提供する専用ホストクラウドサービス(物理的にインフラを専有可能なクラウドサービス)に、Microsoftソフトウェアのオンプレミスデバイス向けライセンスを持ち込むことを制限した。ライセンス制約の対象となるクラウドベンダーを、Microsoftは「Listed Provider」と呼ぶ。
Listed Providerは、Microsoftのライセンス制約に依然として縛られているものの、状況は変わる可能性がある。Listed Providerとして指定されたAWSやGoogleといったクラウドベンダーや、クラウドサービス向けのインフラ管理製品を提供しているVMwareやCitrix Systemsなどのパートナーは、ライセンス制約のさらなる緩和を期待している。
とはいえ今回の変更は、AWSやAmazon WorkSpacesのユーザー企業にとって良いニュースであることは変わらない。市場の競争に不公平さをもたらすライセンス制約は、わずかながら改善された。
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