近年、OSS業界の懸念事項になっているコモディティ化。LinuxベンダーのSUSEはこの動向をどう捉えているのか。単独インタビューで同社CEOに聞いた。
オープンソースソフトウェア(OSS)はコモディティ化が進んでいるのか――。これは企業向けLinuxディストリビューション(配布用パッケージ)ベンダーSUSEにとっても無視できない問題だ。同社はOSSのコモディティ化を独自の視点でみている。どういうことなのか。SUSEのダークピーター・ファン・レーベンCEO(最高経営責任者)とトーマス・ディ・ジャコモCTO(最高技術責任者)が語る。
―― 近年、OSSはコモディティ化し、価値が低下していると言われています。この問題についてどうお考えですか。
ファン・レーベン氏 OSSのコモディティ化は確実に起こっていると捉えている。ただしコモディティ化は「大量採用」を意味するので、素晴らしいことだ。
OSSがコモディティ化しているからといって、イノベーションが止まるわけではない。例えば、コンテナで何かを実行する場合、コンテナの中身を知る必要がある。エッジ(ユーザー端末に近い所)でアプリケーションを実行する場合、軽量版のLinuxが必要だ。OSSは、ハードウェア側で開発された技術とともに今後も進化しなければならない。
チップセット(集積回路の集まり)に例えて考えてみよう。チップセットがコモディティ化していたとしても、それを使う他の技術の進化が止まるわけではない。OSSも同じで、さまざまな技術の進化を陰で支えている。
―― 別の視点でお聞きします。SUSEはRancher Labsを買収して手に入れた Kubernetes(コンテナオーケストレーションツール)の管理ツール群「Rancher」の製品展開をどのように推進していますか。
ディ・ジャコモ氏 Rancherは競合他社の同類の製品と比較して広く採用される傾向にあり、エッジにおけるKubernetes管理ツールの業界標準になろうとしている。Rancherは「マルチクラウド」(複数のクラウドサービスの組み合わせ)と「マルチクラスタ」(Kubernetesクラスタの複数運用)、「オープンソース」を前提にした場合の最適なツールだ。競合他社も追い付こうとしているが、到底及ばないと私はみている。
APAC(アジア太平洋地域)において、ユーザー企業によるRancher採用はまだ初期段階にある。SUSEはそのような企業の変革を支援できる立場にいる。当社が何より心掛けているのは「オープン」であることだ。当社製品は他社のモジュールも追加でき、ユーザー企業のシステム群を広く運用対象にできる。クラウドネイティブのエコシステムはオープンでなければならない。
Rancherはインストールが簡単だと考えている。そのため企業に限らず、個人の開発者も広く使っている。Rancherをインストールするのに高度な知識や長い時間は必要ない。これも今後の導入の追い風になると期待している。
第7回は、ビジネス戦略の中でSUSEが今後注力する点に焦点を当てる。
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