「カンバン」に沿ったアジャイル型開発は、どのような流れで進むのか。「スクラム」ではなくカンバンを選ぶ方がより良い場合はあるのか。
小規模な変更を短期間のうちに繰り返すシステム開発手法を「アジャイル」型開発と呼ぶ。アジャイル型開発を実現する開発手法の代表例が「スクラム」と「カンバン」だ。カンバン型開発の具体的な流れは、スクラム型開発とどのように異なるのか。カンバンを選ぶ方がよい場合はどちらなのか。以下でその疑問に答える。
一般的なカンバンは以下のステップを繰り返す。この流れを「プル方式」と呼ぶ。
スクラムとは異なり、カンバンには時間枠がない。機能が完成するとすぐに本番環境に反映される。この継続的なリリースの仕組みを採用することから、カンバンはしばしば「フロー型」開発モデルと呼ばれる。カンバンは最も重要な機能を最初に開発し、エンドユーザーのニーズに合わせて機能を提供するため、「ジャストインタイム」開発モデルとも呼ばれる。
「ユーザー駆動型開発(エンドユーザーのニーズに基づく開発)ではない、あるいは製品開発に取り組んでいないチームで開発をするとき、私はカンバンを好んで使う」。旅行会社向けITベンダーAmadeus IT Groupのソフトウェアアーキテクトであるエティエンヌ・ボスラー氏は、そう述べる。ボスラー氏のコメントは、システム開発業界の一般的な意見と一致する。大規模な製品開発ではなく、迅速なバグ修正や小規模なアップデートに重点を置くヘルプデスクやサポートチームは、しばしばカンバンを好む。
カンバンは、ワークフローを非常に細かく監視して制御する。ボスラー氏によると、階層型の組織構造において、管理者が指示を出す「コマンド&コントロール」(C&C)文化から来た人は、スクラムではなくカンバンを採用する方が概して簡単に開発を進めやすい。
次回は、スクラムとカンバンを併用するメリットを取り上げる。
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