「アジャイルならドキュメントを残さなくてOK」が根本的に間違っている理由ソフトウェア開発にまつわる10個の神話【第5回】

ソフトウェア開発を効率的に進めるための手法として「アジャイル」型開発が浸透している。一方で「正しいアジャイル型開発」に関する誤解が存在することも事実だ。何がどう間違っているのか。

2023年06月09日 09時15分 公開
[Cameron McKenzieTechTarget]

 ソフトウェア開発分野には、誤解に基づく複数の“神話”が存在する。そうした10個の神話のうち、今回はエンジニアの間で広がっている“誤った習慣”と、その真実をひも解く。

神話8「アジャイル型開発ではドキュメントを残さなくてもよい」

 小規模な変更を短期間のうちに繰り返すソフトウェア開発手法が「アジャイル」型開発だ。アジャイル型開発の中核的な考え方を示す言葉に「網羅的なドキュメントよりも、動くソフトウェアに価値を置く」(Working software over comprehensive documentation)がある。この言葉はいつの間にか「アジャイル型開発チームはドキュメントを作成しなくてもよい」という趣旨の神話に変わってしまった。

 アジャイル型開発は確かに「ドキュメントは少ないほどよい」という思想を持つ。それでもドキュメントは必要だ。全てのソフトウェア開発プロジェクトには、ソフトウェアをどのように開発するのかについて、主要な設計決定の根拠となるドキュメントが必要になる。加えてソフトウェアユーザーにはソフトウェアの使い方を説明するドキュメント、ヘルプデスク担当者にはソフトウェアに関するサポート方法を説明するドキュメントを用意する必要がある。

 「アジャイル型開発には、ドキュメントは必要ではない」――。こうした考え方は、誰の役にも立たない。


 第6回は、9つ目の神話を紹介する。

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