「スクラム」と「カンバン」はさまざまな点で異なるアジャイル型開発手法だ。ただし両者は二者択一の関係ではなく、「お互いに補完し合うもの」だという意見がある。それはなぜなのか。選ぶ際のポイントは。
「アジャイル」型開発は、小規模な変更を短期間のうちに繰り返すシステム開発手法だ。実際の開発においては「スクラム」や「カンバン」といった開発手法に沿って進めることになる。スクラムとカンバンはそれぞれ異なる点を持つが、利用シーンによって使い分けるよりも、併用に意義があるという意見がある。どういうことなのか。
WIP(進行中の作業)、完了したタスク、やるべきタスクを把握するために、カンバンは可視化ツール「カンバンボード」を活用する。これに対してスクラムは、バックログ(実装すべき機能のリスト)と開発プロセスの透明性を高める可視化ツール「ビジュアルボード」を使用する。
スクラムチームは開発サイクルの期間、Work Item Age(作業項目が作成されてから現在までの時間)といったカンバンの指標を使用して、プロジェクトの進行状況を測定している。「カンバンのやり方がスクラム型開発を向上させる」と考える開発チームは少なくない。
どのように作業を段階に分けるか、どのように進捗(しんちょく)を監視するか、どのようにメトリクス(指標)を生成するかといったことについて、スクラムでは明確な指示がない。カンバンにはこうした指示が存在する。スクラムとカンバンを組み合わせれば、両者の長所を享受可能だ。
「スクラムとカンバンは補完的な存在だ。競合する開発手法であると考える人がいることは残念だ。私は、スクラムとカンバンが完全に独立して機能すると考える」。スクラムに関する教材を提供するWebサイト「Scrum.org」のCEOデーブ・ウエスト氏はそう語る。
スクラムはスプリントに基づく開発手法であり、カンバンは開発プロセスのフローを最適化するための戦略を備えた開発手法だ。両者は排他的ではなく、併用できる。カンバンはフローを重視する。そうした考え方をスクラムで採用すると、チーム内の透明性の向上や経験主義の奨励につながり、アジャイル開発のプロセスを大きく改善できる。
スクラムとカンバンは非常に相性が良いので、ぜひ組み合わせてみよう。自身にとって最適な方法論とプロセスを選択できることが、スクラムの全てだ。そうした開発チームがカンバンを選択肢に含めることは、理にかなっている。
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