「SharePoint」サイトは「Teams」に移すべき? 判断基準と移行方法TeamsとSharePointの連携方法【中編】

「Microsoft SharePoint」で作成したWebサイトは、「Microsoft Teams」を活用することで利便性の向上が見込める。SharePointサイトの複雑さを考慮して、より良い連携方法を選ぶためのヒントを紹介する。

2023年11月09日 05時00分 公開
[Reda ChouffaniTechTarget]

 「Microsoft 365」を利用する企業には、社内ポータルサイト構築ツール「Microsoft SharePoint」(以下、SharePoint)で作成したWebサイト(SharePointサイト)に関して2つの選択肢がある。1つ目はWeb会議ツール「Microsoft Teams」(以下、Teams)とSharePointサイトを連携させること。2つ目はSharePointサイトに対応する「チーム」をTeamsで作成して、チームでコンテンツを共有することだ。どちらを選択すればよいのかは、以下の観点によって異なる。

  • 企業戦略
  • TeamsとSharePointの導入状況
  • SharePointサイトの複雑さ
  • ローコード/ノーコード開発ツール「Microsoft Power Apps」、クラウド型RPA(ロボティックプロセスオートメーション)ツール「Microsoft Power Automate」など、他ツールの導入状況

SharePointサイトの構造から考える連携方法

シンプルなSharePointサイトの場合

会員登録(無料)が必要です

 ファイル保管やドキュメントの共同編集、簡素なリスト型データ管理などを目的としたSharePointサイトは、ページ数が少なくシンプルになりやすい。そうしたシンプルなSharePointサイトは、Teamsに移行する方が適している。Teamsでは、チームや個人のページにおいて、ファイルやアプリケーションにアクセスするためのタブを追加可能だ。この機能を活用することで、エンドユーザーはコンテンツを使った共同作業をしやすくなる。

 SharePointサイトをTeamsに移行する場合、その他のSharePointサイトをファイル共有サービス「SharePoint Online」に移行することを検討するとよい。これにより、オンプレミスシステムでSharePointを管理する手間を省略できる。テレワーカーやパートナー企業、顧客企業とのコンテンツ共有や、ビデオ会議でのコンテンツ活用がしやすくなるといった利点もある。TeamsとSharePoint Onlineはクラウドサービスであるため、テレワーカーがVPN(仮想プライベートネットワーク)を使わずに、基本的なインターネット接続だけで利用可能だ。パートナー企業や顧客企業のエンドユーザーがアクセスした際は、ログイン情報やゲスト用のアカウント情報を取得できる。

複雑なSharePointサイトの場合

 以下の特徴を持つ、複雑なSharePointサイトは、Teamsへの移行には適さない。

  • ドキュメントやリスト型データを扱うワークフロー(自動で実行される一連のタスク)を持つSharePointサイト
  • カスタマイズツール「SharePoint Designer」や、拡張機能を使って大幅にカスタマイズされているSharePointサイト
  • サードパーティー製ツールでカスタマイズされたSharePointサイト
  • ローカルネットワークからアクセスする必要がある、オンプレミスサーバ内のSharePointサイト
  • サーバサイドレンダリング(サーバでの描画処理)でオンプレミスサーバに接続する必要があるSharePointサイト

 こうしたSharePointサイトで保管していたドキュメントをTeamsに移動することは可能だ。ただしワークフローに関してはMicrosoft Power AppsやMicrosoft Power Automateなど、別のツールを活用する必要がある。サードパーティー製ツールやカスタマイズしたWebコンポーネント(部品)を扱うワークフローは、SharePointに残さなければならない場合がある。そうしたワークフローに対して、SharePointとは異なるインタフェースをTeamsが提供している可能性があるためだ。

 SharePointサイトが複雑なほど、移行や変更にはより多くの労力とコストを伴いやすい。それでもIT管理者は、複雑でレガシーなSharePointのワークフローを使い続けるのではなく、Microsoft Power Automateの導入を検討すべきだ。ただしSharePointサイトをTeamsに移行する労力と全体的なコストの負担には注意が要る。フォーム作成ツール「Microsoft InfoPath」を使用している企業は、Microsoft InfoPathで作成したフォームをモバイルデバイス向けアプリケーションに変更するために、Microsoft Power Appsの導入を検討するとよい。

 TeamsとSharePointの連携において検討すべき別の観点がアクセス権限だ。企業がアクセス権管理機能「Microsoft 365グループ」を使用している場合は、Microsoft 365グループを通じてSharePointでのアクセス権限も管理できる。Microsoft 365グループとTeamsを連携させることで、Teamsのチャネル(チームメンバーがファイルやメッセージを共有する場)所有者であるエンドユーザーが、SharePointのアクセス権限を管理できるようになる。これによりSharePointのアクセス権限の管理をSharePoint管理者からチャネル所有者に委任するとともに、Teamsを通じてSharePointtのアクセス権限を管理可能になる。


 次回は、TeamsとSharePointの連携方法を解説する。

TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス

米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 株式会社マヒト

名刺発注業務を効率化、柔軟なワークフロー構築が可能な名刺発注システムとは

名刺は日々のビジネスに欠かせないツールの1つだが、その発注に関する承認と管理は意外と手間のかかる作業であり、規模が大きくなるほど負担は増大する。そこで注目したいのが、柔軟なワークフローを構築できる名刺発注サービスだ。

製品レビュー NECネッツエスアイ株式会社

2分の動画で解説:外出先での電話環境を改善、雑音除去もできるクラウドPBXとは

外出時の電話対応では、取り次ぎや折り返しの手間に加え、周囲の雑音やノイズといった課題もつきものだ。これらを解決する手段として期待されるクラウドソリューションを取り上げ、実際の利用方法や活用効果を、動画を通じて紹介する。

製品資料 株式会社ジャストシステム

稟議/申請のデジタル化を推進、ノーコードで実現するワークフロー変革術

あらゆる領域でデジタルシフトが進む今、ワークフローにおいてもシステム化が加速している。その手段として注目されるのが、ITの専門知識がなくてもシステム構築が可能なノーコードツールだ。そのメリットや選定のポイントを解説する。

事例 日本ビジネスシステムズ株式会社

SharePointを活用している? Microsoft 365ユーザーなら押さえたい活用の秘訣

Microsoft 365に搭載されている「SharePoint」は活用できているだろうか。製品名は知っていても、その機能やメリットが分かっていないという声もよく聞かれる。そこで実際の活用事例を基に、活用のポイントを紹介する。

事例 日本ビジネスシステムズ株式会社

直感的な社内ポータルに刷新してアクセスが向上、千歳コーポレーションの事例

創立60周年を機に抜本的な働き方改革推進に乗り出した千歳コーポレーション。その一環として取り組んだ社内ポータルの刷新により、コンテンツへの直感的・迅速なアクセスを実現。情報共有やコミュニケーション活性化につながっている。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...

news040.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。