Microsoftが「Microsoft 365 Backup」を投入することで、バックアップ分野にはどのような影響があるのか。Microsoftとバックアップ専業ベンダーとの関係を踏まえて考察する。
Microsoftの製品をサブスクリプション形式で利用できるサービス群「Microsoft 365」向けのバックアップサービス「Microsoft 365 Backup」の登場は、SaaS(Software as a Service)向けバックアップ市場や、ユーザー企業の運用にどのような影響を与えるのか。バックアップ分野では何が求められているのか。Microsoftとバックアップ専業ベンダーの関係を踏まえつつ、今後の影響を探る。
MicrosoftはMicrosoft 365 Backupを提供するに当たり、「既存のバックアップやリカバリー(データ復元)製品と競合する考えはない」と説明する。Microsoft 365 BackupのAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)を用いて他のバックアップ製品・サービスとの連携が可能だという。
「Microsoftはバックアップ専業ベンダーとの対立ではなく、共存を望んでいる」。調査会社Data Center Intelligence Group(DCIG)のCEO(最高経営責任者)、ジェローム・ウェント氏はそう述べる。
「大半の企業は引き続き専業ベンダーのバックアップ製品・サービスを利用すると考えられる」。そう語るのは、SaaS向けバックアップベンダーHYCUの製品担当シニアバイスプレジデント、スビア・スンダラム氏だ。HYCUは2023年、SaaS向けのバックアップとリカバリーを開発できるツール「R-Cloud」を投入した。これを使えば、開発者はHYCUのAPIを通じて、自社IT製品にバックアップとリカバリーの機能を迅速に追加しやすくなる。
利用するSaaSが多様化すれば、その分のデータ保護の対策を用意するのが望ましい。だが「SaaSが増えるほどデータ保護の対策は難しくなる」と、調査会社The Futurum Groupのアナリスト、クリスタ・マコーマー氏は言う。
バックアップ専業ベンダーが追加するバックアップ機能を利用することが選択肢になるが、ベンダーが新しいSaaS向けの機能をすぐに提供できるとは限らない。HYCUはそうしたニーズを見いだしてR-Cloudの投入を決めたという。
調査会社Data Center Intelligence Group(DCIG)のCEOジェローム・ウェント氏は、バックアップの機能を誰が用意するのか、データ保護の責任がどこにあるのかという問題は、これから一段と複雑化すると予測する。サードパーティーのバックアップ製品が存在する中で、Microsoftがバックアップの新サービスを提供することは、混乱と運用の複雑さを招く可能性がある。
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