SD-WANから始める次世代ネットワーク 自動化に欠かせない手法とは?SD-WANの自動化は何をもたらすのか【前編】

2025年までに25%の企業が、ネットワーク関連業務の半分以上を自動化するという予測がある。自動化の基礎となるのはSD-WANであり、これはより高度な自動化に取り組むための最初の一歩にもなる。

2024年02月08日 05時00分 公開
[Robert SturtTechTarget]

 調査会社Gartnerが2023年に発表した予測では、25%の企業が2025年までにネットワーク関係のタスクの半分以上を自動化するようになる。自動化の基礎となるのは「SD-WAN」(ソフトウェア定義WAN)だ。

 SD-WANはネットワークやネットワーク管理に変化をもたらした。スイッチング(トラフィックの中継と転送)技術である「MPLS」(マルチプロトコルラベルスイッチング)登場以来のインパクトだと言って過言ではない。

 2024年現在では、企業のITチームがネットワークを管理する際、SD-WANを利用することが一般的な選択肢の一つとなっている。次世代ネットワークに移行するには、SD-WANを使いつつも、さらなるネットワーク業務自動化の仕組みが必要だ。何が自動化の鍵を握るのか。

次世代ネットワークに欠かせない2つの手法とは

会員登録(無料)が必要です

 企業はネットワーク業務の自動化を進めるために、システム運用に人工知能(AI)技術を生かす「AIOps」と、開発と運用のプロセスを融合する「DevOps」を導入するべきだ。

 AIOpsツールの効果はタスクの自動化だけではない。バーチャルアシスタントを提供してUX(ユーザー体験)を向上させる。SD-WANベンダーは、DevOpsを採用して開発と運用のプロセスを統合することで、ソフトウェア機能の開発を迅速化できる。AIOpsとDevOpsのツールを統合して提供するベンダーも存在する。

 近年のSD-WANは機能をAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)化できるように進化している。APIを使用して、ビジネスニーズに応じた自動化機能を実装可能だ。

 AIOpsによるネットワーク業務の自動化を進めるには、APIを通してSD-WANの機能を利用できる必要がある。例えばAPIを利用して、単一の管理ツールからWANの構成変更や、「Amazon Web Services」(AWS)のようなクラウドサービス群の設定を変更する。個々の構成要素をまとめて管理する手法を取り入れることで、将来的にはシステム全体にAI技術による意思決定と自動化の仕組みを導入できるようになる。


 後編は自動化のメリットを掘り下げ、AIを活用したネットワーク管理のイメージを解説する。

TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス

米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 アイティメディア広告企画

「SD-WAN2.0」導入ガイド:特徴/製品選定のポイント/導入時の注意点を解説

拠点間接続にWANが重宝されてきたが、ビジネス環境の変化に伴い「SaaSが遅い」「セキュリティが不安」といった問題が顕在化してきた。そこで注目したいのがパワーアップした「SD-WAN2.0」だ。その特徴や導入時の注意点を解説していこう。

技術文書・技術解説 株式会社ソラコム

IoTデバイス導入ガイド:概念から選定・導入時に押さえておきたいポイントまで

IoTという言葉は知っているものの、ビジネスの場でどのように活用すればよいのか分からないという声も多い。こうした声に応えるべく、IoTの基本的な概念から、IoTデバイスの選定・導入時に押さえておきたいポイントまでを解説する。

市場調査・トレンド 株式会社ソラコム

今さら聞けない「DXとIoT」、基本知識から最初の一歩を踏み出す具体策まで解説

DXやIoTという言葉は知っているものの、それが何を意味し、ビジネスの現場にどのように採り入れられているのか分からないという声は意外と多い。そこで、DXとIoTについて、基本知識から実現方法まで詳しく解説する。

製品資料 アルテリア・ネットワークス株式会社

VPNの「パフォーマンス」や「セキュリティ」の課題を解決するための秘策とは?

インターネットVPNサービスの市場規模は増加傾向にあるが、パフォーマンスやセキュリティなどの課題が顕在化している。VPNの利用状況などのデータを基にこれらの課題を考察し、次世代インターネットVPNサービスの利点と可能性を探る。

製品資料 東京エレクトロン デバイス株式会社

ネットワーク環境の課題を解決し、ネットワークの構築と運用を簡素化する方法

ネットワークに関して、「環境の構築・運用管理に手間やコストがかかる」などの課題を抱える企業は多い。そこで注目されているのが、1つのプラットフォームによる管理で運用負荷低減やトラブル対応効率化を実現するソリューションだ。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...

news040.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news253.jpg

「AIエージェント」はデジタルマーケティングをどう高度化するのか
電通デジタルはAIを活用したマーケティングソリューションブランド「∞AI」の大型アップ...