ハイブリッドクラウドのトレンド10選【後編】
ハイブリッドクラウドユーザーの本音「プログラミング言語に依存したくない」
「ハイブリッドクラウド」のインフラやツールが進化している。ハイブリッドクラウドを採用することで得られるメリットや、ハイブリッドクラウドのトレンドを紹介する。
オンプレミスとクラウドサービスを併用する「ハイブリッドクラウド」の採用が加速している。ハイブリッドクラウドには、コストの最適化やリスクの分散といったメリットがある。だがそれだけではない。近年はハイブリッドクラウドやハイブリッドクラウドを運用するためのツールも進化している。ハイブリッドクラウドの10大トレンドのうち、6~10個目を紹介する。
6.言語に依存しないクラウドネイティブアプリ
併せて読みたいお薦め記事
連載:ハイブリッドクラウドのトレンド10選
ハイブリッドクラウドとお金の話
「クラウドサービスの管理をシンプルにするため、プログラミング言語に依存しないオープンソースソフトウェア(OSS)の採用が進む」。こう話すのは、オープンソースソフトウェア管理団体Cloud Native Computing Foundation(CNCF)でエコシステム責任者を務めるテイラー・ドレザル氏だ。
インフラやツールが特定のプログラミング言語に依存しないということは、さまざまなアプリケーションやアーキテクチャを採用できる可能性があるということだ。開発においても、CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)やIaC(Infrastructure as Code:コードによるインフラの構成管理)などの手法によって、既存のインフラへの統合がしやすくする。
「特定のプログラミング言語に依存しないツールを利用すれば『DevOps』(開発と運用の融合)チームがプロジェクトを跨いでアプリケーションをより効率的に開発して運用できるようになる」とドレザル氏は説明する。
7.セキュリティリスクの分散
サイバーセキュリティ対策を強化するために、ハイブリッドクラウドやマルチクラウドを検討する企業がある。
金融サービスを提供するJPMorgan Chaseでグローバルテクニカルインフラ部門のCIO(最高情報責任者)を務めるダリン・アウベス氏は、次のように述べる。「サイバーセキュリティの脅威は複雑になる一方だ。複数のクラウドサービスで運用することで、単一のプロバイダーに脅威が集中するリスクを回避できる」
CIOが「DX」(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みを進め、ハイブリッドクラウドへの投資を続けていく上で、クラウドサービスによる回復力を確保することが最優先になるとアウベス氏は考える。
8.オプションの多様化によるコスト最適化
ベンダーと機能の適切な組み合わせを見つけることは、クラウドサービスへの投資を最適化するのに役立つ。例えば、最新のx86プロセッサではなくArm製のプロセッサを使用することで、コスト削減につながる可能性がある。「オンプレミスのインフラでは選択肢が限られるが、パブリッククラウドならプロセッサを簡単に選択できる」とアウベス氏は考える。
9.アプリケーションの近代化がもたらす課題
「クラウド移行が有望であることを認識していながらも、効果的に移行する資金、人材、知識が不足しているCIOにとって、アプリケーションの近代化に伴うコストは依然として問題だ」。そう語るのは、コンサルタント企業Nucleus Researchでシニアアナリストを務めるアレクサンダー・ワーム氏だ。
ベンダーは、オンプレミスにおける既存のアプリケーションのサポートを続けながら、クラウドサービスでの今後の開発に集中できるように「run-anywhere」(どこでも動作する)モデルを優先し始めている。ワーム氏は、アプリケーションの近代化を効果的かつコスト効率よく図るため、クラウドネイティブの開発を優先しながら段階的にクラウドサービスに移行する計画を採用することをCIOに推奨する。
10.パフォーマンスとコストのバランス
企業は、さまざまなアプリケーションニーズに対応するためにハイブリッドクラウドを選ぶようになっている。「画一的なアプローチでは不十分であることを認識し始めている」とコンサルティング企業Everest Groupのランジャン氏は話す。企業は、パブリッククラウドであろうと、レガシーなオンプレミスインフラであろうと、パフォーマンスが最適になる場所にアプリケーションを計画的に配置する必要がある。
レガシーインフラは、時間、コスト、アプリケーションのパフォーマンス、技術的な専門知識、データ損失の可能性など、移行にまつわる課題をもたらす可能性がある。新しいインフラや基盤への移行が望ましいが、そのためには企業がリソースを一元的に監視して、デプロイの自動化を実装し、異なるインフラや基盤の間でセキュリティとコンプライアンスのポリシーを一貫させる必要がある。
「ハイブリッドクラウドを採用する企業は、ハードウェア、コンプライアンス、規制、コスト管理に自信を持てるようになる」(ランジャン氏)
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
市場調査・トレンド
[AvePoint Japan株式会社] SCS評価制度の死角は“SaaSの中” クラウド標準機能では届かない領域とは? -
製品資料
[デジタルサーカス株式会社] 5分で分かる、「オープンソースCMS」比較ガイド -
製品資料
[デジタルサーカス株式会社] 1つのアプリを各国で運用 多言語モバイルアプリを簡単に開発・導入できる方法 -
製品資料
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] 複雑化するKubernetes運用、VMとコンテナの二重管理を解消する方法は? -
市場調査・トレンド
[アルプス システム インテグレーション株式会社] 急増する高度なフィッシング詐欺 先回りしてブロックするには何が必要?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
Microsoft 365導入後も稟議は「Excelをメールで回覧」 承認が止まる理由
-
2
米国防総省で300万人分の個人情報が流出 その「意外な原因」と教訓
-
3
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
4
PHPはそもそも必要か? 脆弱性で問われる自社サイト安全性と保守負担のバランス
-
5
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
6
金融・通信で情報漏えいが続出 IPAとJPCERT/CCが情シスに求める緊急点検
-
7
「年1回の外部診断」が限界に 大手小売が脆弱性管理を内製化・一元化した方法
-
8
京王電鉄・東京メトロの被害から学ぶ境界防衛 ITの侵害はどこまで波及するか
-
9
PHP2Shellの「事前の情報流出」でパニックに パッチ公開を巡る“混乱劇”
-
10
Googleの業務向けAIエージェント「Gemini Agent」が登場 しかし課題は山積み
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
5
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
6
「EDR」選定ガイド:比較・検討フェーズで整理すべきポイントを解説
-
7
10G回線の真価をフルに享受するには? 導入前にチェックしたいポイント
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
MDMだけでは防げない? Appleデバイスに潜む5つのセキュリティギャップ
-
10
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー