ストレージの技術が進化する中で、かつては定番だった「テープ」の競合が多様化している。その一つが「光ディスク」だ。テープに対して、光ディスクにはどのような特性があるのか。
「テープ」はストレージ市場から消えることなく企業のデータ保管を支え続けてきた。依然としてテープは進化を続け、活躍しているが、他のストレージ技術も登場する中で厳しい競争に直面していることも事実だ。テープの競合となるストレージの一つに「光ディスク」がある。テープと比較すると、光ディスクにはどのような得意、不得意があるのか。
ストレージベンダーFujifilm Recording Media USAのテープエバンジェリズム責任者、リッチ・ガドムスキー氏によると、テープは主にバックアップのようなアクセス頻度の低いデータの保存と、アーカイブという2つの役割を果たしてきた。企業が保存するデータが増える傾向にある中で、「企業は新しいデータ保存法を考える必要がある」とガドムスキー氏は指摘する。
テープと競合するストレージの一つが、光ディスクだ。ストレージベンダーFolio Photonicsは2022年、光ディスク1枚当たりの記憶容量が500GBまたは1TBになり、カートリッジ当たり10TBまで増やせる技術を発表した。
「テープを完全に置き換えようとは考えていない」。Folio PhotonicsのCEO(最高経営責任者)スティーブ・サンタマリア氏はそう語る。同社は、テープについては特定の用途に最適化した製品開発に取り組む。特に大量のデータを扱う大型データセンター運用事業者にとって、コストメリットの観点でテープは魅力的になるとサンタマリア氏はみる。今後、データによりアクセスしやすいテープ製品を投入し、テープの新しい市場を開拓するという。
コンサルティング会社Dragon Slayer Consultingプレジデントのマーク・ステイマー氏によれば、光ディスクも完璧な記憶装置というわけではない。同氏によると、光ディスクは「ランダムリード」(ランダムなデータの読み書き)に関しては得意だが、「シーケンシャルリード」(連続的なデータの読み書き)は得意ではない。この問題が、企業が光ディスクを採用する上での課題になりかねないとステイマー氏は説明する。
後編は、ストレージ媒体としてのガラスやセラミックの可能性を考える。
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