テレワークの普及を機に一般的になったハイブリッド会議やWeb会議は、どのような目的にも適するわけではない。ハイブリッド会議やWeb会議をしてもうまくいかない不向きな目的とは。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)を受けて、2020年ごろから「脱オフィス」を目指す企業が現れた。テレワークを採用する企業の動きが広がり、コミュニケーション手段としてチャットやWeb会議のツール導入が進んだ。
それでも対面でのコミュニケーションを求める声は根強く、対面での会議とWeb会議を同時に実施する「ハイブリッド会議」がさまざまな組織において開催されるようになった。ただし、そうしたWeb会議の使い方は特定の目的にしか向いていない。Web会議が不向きな目的とは何か。
コラボレーションツールを使い、オンラインとオフラインのメンバーが混在した会議をすると、時にチームの一体感を損ねてしまうリスクがある。例えばハイブリッド会議で、オフィスの会議室から参加するメンバーと、社外からオンラインで参加するメンバーがいる場合、アンバランスさが生まれてしまう。
オフィスから参加するメンバーは物理的に同じ空間にいるため、お互いの表情やジェスチャーがよく見え、自然に会話ができる。一方のオンライン参加者は、PCの画面越しで状況を把握するしかないため、誰が話しているのか分かりづらかったり、会話に入りにくかったりする。
同じ空間にいる方が、軽い冗談を交わしやすいし、思いがけない出会いもあるだろう。友好関係の促進やチームメンバー間の信頼構築といったメリットを享受したいと考える人は一定数存在する。
調査会社OnConvergenceのアナリストであるトム・ブラネン氏も、Web会議について課題を感じていたと話す。「Web会議は便利だが、大人数の雑談には向かない」とブラネン氏は指摘する。「1on1ミーティング」や、あらかじめ話者が決まっている会議ならば問題ないが、複数人による双方向の会話にWeb会議は向いていなかったという。
Web会議では克服できない“壁”の存在に対して、専門家はVR(仮想現実)が壁の解消に役立つと見込んでいる。
次回は、VRツールを使ってコミュニケーションを促進した企業の例を紹介する。
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