「Git」はソフトウェア開発だけではなく、ネットワーク管理の効率化にも活用できる。Gitの仕組みと用語を学び、効果的なネットワーク管理を実現するための基礎を固めよう。
ネットワーク担当者が、ネットワーク構成の変更を手作業で確認する時代は終わりを告げた。技術の発展に伴って、ネットワーク担当者はネットワーク自動化、DevOps(開発と運用の融合)、Infrastructure as Code(IaC)といった手法を活用して、構成管理の効率を上げるようになった。
現代の企業では、チームの構成員が世界中に分散していたり、テレワーカーとオフィスワーカーが混在していたりすることが一般的だ。こうした従業員とその働き方を支えるネットワークの管理では、自動化やバージョン管理システムが活躍している。その一例が、オープンソースのバージョン管理システム(VCS)である「Git」だ。
ネットワーク管理者はGitを使えば、ネットワーク構成ファイルの管理、プロジェクトでの共同作業、構成変更の監視、ドキュメントの改善が可能になる。まずはGitの仕組みや、基本となるGit用語から理解しておこう。
Gitは分散型VCSで、エンドユーザーが同じプロジェクトで加えた変更を追跡するデータベースを使用する。VCSは多様なファイルを保存し、それらのファイルに加えられた変更を記録する。この記録を用いて、エンドユーザーは変更の比較、変更のロールバック、変更した人物の特定が可能になる。
「責任のなすり合い」をなくすのにGitは役立つ。誰かが変更を加えた際、Gitがソースコードやネットワーク構成の変更を追跡し、変更した人や変更内容といった詳細情報を確認できるようにする。ソースコードをコミットすると変更が保存され、リポジトリ(ファイルやフォルダの状態を保存する場所)に送信される。コミットとは、変更を保存してリポジトリに反映する操作のことだ。階層的なフォルダ構造や、特定の変更やバージョンにタグを付与することによって、ソースコードの変更を追跡しやすくするとともに、効果的な変更追跡による作業効率の向上が図れる。
Gitはチェックサム(データの信頼性を確認するための数字)を使って、リポジトリ内のデータ破損や不正な変更のを確認することで、整合性を検証する。Gitが用いるチェックサムは、ハッシュアルゴリズム「SHA-1」(SHA:Secure Hash Algorithm)を使って暗号化した、40桁の16進数形式文字列で表される。
具体的なコマンドの説明に進む前に、理解しておきたいGit用語を幾つか紹介しよう。
メインリポジトリとは別のブランチを用意して、バージョンを管理できるのがGitの強みだ。エンドユーザーはブランチを使うことで、メインのプロジェクトバージョンを変更せずに、さまざまなバージョンで同時に共同作業ができる。準備が整ってから変更をメインプロジェクトにマージ(統合)したり、メインプロジェクトとは分離した独自のバージョンを管理したりすることが可能だ。ブランチは「Linux」のさまざまなディレクトリで作業をするのと似ている。
次回はGitの基本コマンドと、ネットワーク管理における使用例を解説する。
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