ハイブリッドワークは一見すると自由な働き方だが、従業員は自身の意思に反して“ある選択”をせざるを得ない状況に陥っていることもある。真に自由な働き方には何が必要なのか。
出社してオフィスで働くか、在宅勤務を含めたテレワークをするかを選択できる「ハイブリッドワーク」には、良い面も悪い面もある。物理的な距離が近い人を優遇する「近接性バイアス」という心理的現象が自身の上司や同僚に発生しがちなこともあり、出社とテレワークのどちらがよいのかを選択することは従業員にとって重大な問題になることがある。ただし幾つかの方法を採用することで、従業員は「出社とテレワークのどちらが得か」に悩まずに働けるようになる。
従業員はハイブリッドワークについて、場所や時間の制約を受けずに働くことができ、生活の質向上につながる点を評価している一方、負担に感じている点もある。一部の従業員は、自分の都合ではなく上司や同僚の意向に合わせてオフィスと自宅で働く時間を分けざるを得ない状態だ。他の人が出社しているタイミングで自身も出社しなければ、会議での発言権を失う恐れがある。物理的に出席している従業員の意見よりも、自分の意見が軽視されるリスクもある。
近接性バイアスへの対処は、ハイブリッドワークを採用している企業のリーダーが直面する課題の一つだ。出社している同僚と比べて、テレワーカー自身が会社に貢献していないと感じる企業風土だと、風通しが良い職場やワークライフバランスを重視する職場は生まれにくい。
チャットツールやWeb会議ツールなどのユニファイドコミュニケーション(UC)ツールやコラボレーションツールは、ハイブリッドワークの重要な要素だ。これらのツールを活用して、近接性バイアスを取り除くための5つの活用法を紹介しよう。
Web会議が可能な仮想オフィスを用意すれば、従業員はいつでもその仮想オフィスに出入りしてディスカッションに参加できる。同僚と短い会話をしたり、チームの「ハドルルーム」(小規模の会議室)に数人を集めて会議をしたりといったことが可能だ。より密接にやりとりをしたい場合は、従業員が1対1のテキストチャットをビデオチャットに切り替えられる仕様にしておくとよい。
テキストや画像を生成する人工知能(AI)技術「生成AI」のメリットの一つは、従業員同士がどのように交流し、コミュニケーションを取っているのかを分析できることだ。UCツールやコラボレーションツールと組み合わせれば、近接性バイアスなどのネガティブな行動を抑えるためのコーチングのヒントやトレーニングを従業員に提供できる。チームリーダーとメンバーが、互いのやりとりの中で無意識のうちに表れている態度を理解できるようになるのが理想だ。
コラボレーションツール内に、会社全体や部門別、プロジェクト別に感謝を伝えるチャンネルを作成する。そうすることで、従業員が他の人の良い仕事やポジティブな行動を、皆に見える場で褒め合えるようになる。こうした場では、テレワーカーにポジティブなメッセージを送るとともに、「物理的な場所は重要ではない」というメッセージを打ち出すことが可能だ。
Web会議ツールを使用して物理的な会議室で会議を開く際は、会議室内の出席者とテレワーカーが対等にやりとりできるようにする必要がある。具体的には、会議室の前方と中央に複数台のカメラを配置し、会議室をより広く映せるようにするとよい。会議室にタッチスクリーンやデジタルホワイトボードツールを備え付けると、働く場所に関係なく参加者全員がアイデア出しで協力できるようになる。
プロジェクト管理やタスク管理などのアプリケーション、ナレッジベースやドキュメントリポジトリ、コラボレーションツールなどを統合したものが「コネクテッドワークスペース」だ。コネクテッドワークスペースを作成すれば、従業員の働く場所や時刻に関係なく、同じ情報を共有可能になる。どこに何の情報があるかが分かりやすくなることに加えて、コミュニケーションの形態でコラボレーションツールを切り替える必要もなくなる。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Microsoft 365に搭載されている「SharePoint」は活用できているだろうか。製品名は知っていても、その機能やメリットが分かっていないという声もよく聞かれる。そこで実際の活用事例を基に、活用のポイントを紹介する。
創立60周年を機に抜本的な働き方改革推進に乗り出した千歳コーポレーション。その一環として取り組んだ社内ポータルの刷新により、コンテンツへの直感的・迅速なアクセスを実現。情報共有やコミュニケーション活性化につながっている。
ファイル共有手段として多くの企業が利用しているメールだが、大容量ファイルの扱いやPPAP問題など、多くの課題が存在する。本資料では、その解決策として注目されるグループウェアの機能を取り上げ、製品選定のポイントを解説する。
請求書や契約書などの紙文書のデジタル化は、業務効率化に欠かせない取り組みの1つだ。ただ、その取り組みがかえって現場の負担を増やすケースもある。そこで注目したいのが、文書管理に役立つオンラインストレージサービスだ。
紙文書のデジタル化が進む中、社内に散らばる多様な文書を効率的に管理すべく文書管理サービスを導入する企業が増加している。多種多様なサービスがある中、自社に最適なものを選ぶためには、どのような点に留意したらよいだろうか。
「Microsoft 365 Copilot」の真価を引き出すこつとは? リコージャパンに聞く (2025/3/24)
大量のデータから欲しいものを見つける難しさ 生成AIで改善へ (2025/3/3)
「帳票電子化」は8割……紙をPDF化しただけ? 必要なのは「デジタル化」 (2025/2/28)
なぜシステム導入は失敗するのか 請求書電子化の成功事例から学ぶ“コツ” (2025/1/6)
事例:パナソニック ネットソリューションズの文書管理効率化、ペーパーレス化 (2024/6/28)
お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...
Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。