「テレワークと出社のどちらが得か」がどうでもよくなる“第3の働き方”とは?もう近接性バイアスを気にしない

ハイブリッドワークは一見すると自由な働き方だが、従業員は自身の意思に反して“ある選択”をせざるを得ない状況に陥っていることもある。真に自由な働き方には何が必要なのか。

2024年08月21日 05時00分 公開
[Beth SchultzTechTarget]

 出社してオフィスで働くか、在宅勤務を含めたテレワークをするかを選択できる「ハイブリッドワーク」には、良い面も悪い面もある。物理的な距離が近い人を優遇する「近接性バイアス」という心理的現象が自身の上司や同僚に発生しがちなこともあり、出社とテレワークのどちらがよいのかを選択することは従業員にとって重大な問題になることがある。ただし幾つかの方法を採用することで、従業員は「出社とテレワークのどちらが得か」に悩まずに働けるようになる。

「テレワークと出社のどちらが得か」がどうでもよくなる働き方

 従業員はハイブリッドワークについて、場所や時間の制約を受けずに働くことができ、生活の質向上につながる点を評価している一方、負担に感じている点もある。一部の従業員は、自分の都合ではなく上司や同僚の意向に合わせてオフィスと自宅で働く時間を分けざるを得ない状態だ。他の人が出社しているタイミングで自身も出社しなければ、会議での発言権を失う恐れがある。物理的に出席している従業員の意見よりも、自分の意見が軽視されるリスクもある。

 近接性バイアスへの対処は、ハイブリッドワークを採用している企業のリーダーが直面する課題の一つだ。出社している同僚と比べて、テレワーカー自身が会社に貢献していないと感じる企業風土だと、風通しが良い職場やワークライフバランスを重視する職場は生まれにくい。

 チャットツールやWeb会議ツールなどのユニファイドコミュニケーション(UC)ツールやコラボレーションツールは、ハイブリッドワークの重要な要素だ。これらのツールを活用して、近接性バイアスを取り除くための5つの活用法を紹介しよう。

1.離れた従業員間の自発的なブレーンストーミングを促す

 Web会議が可能な仮想オフィスを用意すれば、従業員はいつでもその仮想オフィスに出入りしてディスカッションに参加できる。同僚と短い会話をしたり、チームの「ハドルルーム」(小規模の会議室)に数人を集めて会議をしたりといったことが可能だ。より密接にやりとりをしたい場合は、従業員が1対1のテキストチャットをビデオチャットに切り替えられる仕様にしておくとよい。

2.生成AIを活用してマネジメントのテクニックを学ぶ

 テキストや画像を生成する人工知能(AI)技術「生成AI」のメリットの一つは、従業員同士がどのように交流し、コミュニケーションを取っているのかを分析できることだ。UCツールやコラボレーションツールと組み合わせれば、近接性バイアスなどのネガティブな行動を抑えるためのコーチングのヒントやトレーニングを従業員に提供できる。チームリーダーとメンバーが、互いのやりとりの中で無意識のうちに表れている態度を理解できるようになるのが理想だ。

3.従業員が互いを認め合える仕組みを作る

 コラボレーションツール内に、会社全体や部門別、プロジェクト別に感謝を伝えるチャンネルを作成する。そうすることで、従業員が他の人の良い仕事やポジティブな行動を、皆に見える場で褒め合えるようになる。こうした場では、テレワーカーにポジティブなメッセージを送るとともに、「物理的な場所は重要ではない」というメッセージを打ち出すことが可能だ。

4.対等にやりとりできる会議の場を整える

 Web会議ツールを使用して物理的な会議室で会議を開く際は、会議室内の出席者とテレワーカーが対等にやりとりできるようにする必要がある。具体的には、会議室の前方と中央に複数台のカメラを配置し、会議室をより広く映せるようにするとよい。会議室にタッチスクリーンやデジタルホワイトボードツールを備え付けると、働く場所に関係なく参加者全員がアイデア出しで協力できるようになる。

5.コネクテッドワークスペースを作成する

 プロジェクト管理やタスク管理などのアプリケーション、ナレッジベースやドキュメントリポジトリ、コラボレーションツールなどを統合したものが「コネクテッドワークスペース」だ。コネクテッドワークスペースを作成すれば、従業員の働く場所や時刻に関係なく、同じ情報を共有可能になる。どこに何の情報があるかが分かりやすくなることに加えて、コミュニケーションの形態でコラボレーションツールを切り替える必要もなくなる。

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