パンデミックを契機とした高成長期が終わり、IT業界では人員削減が相次いでいる。IT企業の人員削減にはさまざまな要因が影響している。
IT企業の大規模なレイオフ(一時解雇)が目立っている。その背景には、経済や社会の不確実性だけではないさまざまな変化がある。IT企業が人員を削減するのはなぜなのか。直近で報告されている主な人員削減の計画と共に、IT企業が人員削減をする“9つの要因”のうち、残り4つを紹介する。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)をきっかけに、社会のさまざまな面がデジタル化した。その結果として一部のIT企業は売上高を大幅に伸ばし、積極的に人材を採用した。例えばMeta Platformsの従業員数は2020年3月で4万8268人、2022年9月には8万7314人と急激に増加した。ところが2022年11月、同社は1万1000人のレイオフを発表した。
パンデミックを経て出社回帰やリアルイベント(実際に会場に集まるイベント)が広がり、社会はパンデミック前の状態に戻りつつある。その結果、IT製品やサービスの需要が落ち着き、人的なリソースに余剰が生じやすくなった。
パンデミック中にIT企業が雇用した従業員の大半は新人ではなく、手厚い待遇を前提とした経験豊富なITエンジニアだ。パンデミックによる高成長が収束すれば、パンデミックを契機に雇用した従業員を整理する必要性が出てくる。
IT業界の人員整理は、業界が十分に成長し、各社の業績が安定した結果だとも言える。既に顧客を十分に獲得できていれば、新規顧客を獲得するのではなく、製品やサービスの多様化やグローバル展開に注力する方がより良い戦略になる場合がある。その場合は人員整理が必要になることがある。
2023年3月にシリコンバレー銀行(SVB:Silicon Valley Bank)が経営破綻したことでIT業界に衝撃が走った。SVBは、他行がリスクを取りたがらない中でIT分野のスタートアップ(設立後間もない企業)に融資してきたのだ。SVBが経営破綻したことで他の投資家がリスクを取ることに慎重になり、IT企業は融資を受けにくくなると考えられる。
企業による発表や複数の報道を基に主な人員削減の動向をまとめた。
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