2024年8月開催のストレージとメモリ分野のイベント「FMS」で、ベンダー各社は最新トレンドを踏まえた新製品や新技術を披露した。業界専門家はストレージとメモリ技術の現状と今後の進化をどう評価したのか。
大量のデータを高速に処理するコンピューティングが重要になる中で、ストレージとメモリの技術進化に変化が見られる。2024年8月に開催されたカンファレンス「Future of Memory and Storage Summit」(FMS)で、メモリとストレージのベンダー各社は最新トレンドを踏まえた新技術や新製品を披露した。新製品・新技術の発表や展示を受けて、専門家は業界が直面する課題と可能性について、どのような考えを抱いたのか。
2024年のFMSでベンダー各社が披露した新技術や新製品について、専門家は次のように見解を示す。
今回のFMSは、講演や展示の重点がメモリ全般にあり、メモリのさまざまな側面を取り上げていたことが大きな特徴だった。AI(人工知能)技術やハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)といった分野で処理速度が重要なことを考えると、十分な容量のメモリを用意し、それを可能な限り効率的かつ効果的に動作させることが鍵になる。
今回人気だったテーマは、ストレージにおけるAI技術の活用だ。AI技術は以前のFMSでも話題になったが、ベンダーの立場でもユーザー企業の立場でも、AI技術が普及し、急速に成長していることを受けて、今回は生成AI(ジェネレーティブAI)をはじめとするAI技術に再び注目が集まっていたように思う。
大企業や中小企業でAIアプリケーション(AI技術を活用したアプリケーション)が普及するにつれ、AIアプリケーションのスケールアップに対する関心が高まっている。企業は、進行中の自社事業の動向に関する詳細な洞察を得るためにAI技術を導入し、収益や利益を上げようとしている。
今回のFMSで取り上げられた2大テーマは、「AI」と「Compute Express Link」(CXL<注>)だ。
※注:CPUとメモリおよびさまざまなタイプの周辺デバイスを接続するインターコネクト規格。
CXLの用途はさまざまであり、問題はそのうちどれが最も重要かということだ。2022年のFMSでは、ベンダーはストランデッドメモリ(使われていない、または非効率的に使われているメモリ)の解消方法を話題にしていた。具体的には、CXLでメモリプール(複数のコンピュータが共有できるメモリ領域)を実装することによって、ストランデッドメモリを解消するというものだ。
一方で最近は、CXLが実現することとしてメモリプールにはあまり注目が集まっていない。その代わり、AIワークロード(AI技術関連のタスク)の処理で必要になる大量のメモリを使ったデータ処理を、より効率的に実行するための技術としてCXLに注目が集まるようになった。CXL市場が発展するにつれて、CXLが得意とする分野が変わるのは不思議ではない。
今回のFMSでは、メモリ技術とストレージ技術の両方が、AIワークロードを処理するための技術として発展していることがうかがえた。CPUとGPU(グラフィック処理装置)の処理速度を向上させるためのメモリ技術とストレージ技術を、ベンダーは製品に取り入れようとしている。両技術が融合して1つの技術になることはないとしても、引き続きメモリ技術とストレージ技術の双方の進化がストレージ分野の発展を推し進めると展望する。
もう一つ際立っていたのがFMSの表彰「SuperWomen」の力強さだ。この表彰は1つのパネルとして始まったが、メモリおよびストレージ業界での女性エンジニアの能力に注目が注がれていることから、今では活気あるコミュニティーへと成長している。FMSには男性エンジニアも女性エンジニアも集まる。FMSの参加者の90%が男性エンジニアだという事実は、SuperWomen表彰をユニークなものに感じさせる。この業界で技術面に携わる女性エンジニアはあまりにも少ない。
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