Broadcomが発表した「VMware Tanzu Platform 10」は、VMwareが取り組んできた計画の一つの結実だと言える。しかしVMware買収後のさまざまな変更を加味すると、先行きは不透明だ。
VMwareをBroadcomが買収して以降、業界関係者の間ではコンテナ管理製品群「VMware Tanzu」シリーズが存続するかどうかが疑問の一つだった。そうした中でBroadcomは2024年8月、「VMware Tanzu Platform 10」(以下、Tanzu Platform 10)を発表した。
Broadcomは、コンテナオーケストレーションツール「Kubernetes」とCloud Foundry Foundationのアプリケーションインフラ管理ソフトウェア「Cloud Foundry」の管理を統合するというVMware時代からの長年の目標に基づいた取り組みを進展させた。ただしVMware買収後のさまざまな影響を受けて、この取り組みの真価が埋もれてしまう可能性は拭い切れない。
Kubernetesをベースとした「Tanzu Application Platform」(TAP)とCloud Foundryをベースとした「Tanzu Application Service」(TAS)は、従来は別々のエディションとして提供されてきた。2つを統合する試みは以前にもあったが、打ち切られた経緯がある。
Broadcomは、2024年11月までにTanzu Platform 10を提供開始する計画だ。これによって同社は、Kubernetes向けにCloud Foundryによる開発者体験を提供し、安定したアプリケーション運用や、一貫したガバナンスとコンプライアンスを実現することを支援する。
Tanzu Platform 10は以下のようなKubernetesサービスと互換性がある。
Tanzu Platform 10が市場で受け入れられるかどうかについて、業界関係者は確信を持てていない。BroadcomがVMware買収後に実施してきた製品のバンドル化や、ライセンス体系の改訂について、不満を漏らすユーザー企業が目立つからだ。
メディア企業SiliconANGLE Media(theCUBE Researchとして事業展開)でリードアナリストを務めるロブ・ストレッチー氏は、Broadcomは「Tanzu Platform 10が独立した製品として競争力を持っていることを強調したいはずだ」とみる。その一方でストレッチー氏は「Tanzu Platform 10を市場に浸透させるのは容易ではない」と指摘する。
Cloud FoundryとKubernetesの両方を使用するエンジニアが、VMware製品を検討する可能性は残っている。だが当面はCloud Foundryやその他のKubernetes管理ツールが引き続き広く使われる可能性がある。通信事業者Comcast Businessで開発者エクスペリエンスプラットフォーム担当エグゼクティブディレクターを務めるグレッグ・オット氏は、「費用対効果の観点では、Tanzu Platform 10に移行する大きなメリットは見込めない」と話す。
次回は、VMware製品の今後について専門家がどうみているのかを解説する。
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