通勤時間の短縮は、自由な時間を生み出し、ストレスを軽減するといった有益な効果をもたらす。米国でIT分野の職業に就くなら検討したい、通勤時間の短い米国都市とは。
通勤時間を短くしたいという願望はよくあるものだ。自由な時間を創出でき、環境や経済にもやさしい。ライドシェア事業者Lyftは2024年8月、米国在住の18歳以上1404人を対象としたアンケート調査と、自社ライドシェアサービスのデータを分析し、「通勤しやすい米国都市ベスト10」をまとめた。それを基に、IT産業が賑わっている通勤が楽な全米の都市10個のうち、5〜10番目を紹介する。
ローリーは東海岸を代表するIT産業拠点へと急成長した。IT分野の持続的な成長とイノベーションの原動力となる大学や研究機関に支えられ、IT専門家がバランスの取れたライフスタイルを実現している。デューク大学(Duke University)、ノースカロライナ大学チャペルヒル校(University of North Carolina at Chapel Hill)、ノースカロライナ州立大学(North Carolina State University)といった名門大学が優秀な卒業生を輩出し、教育水準の高い労働力を誇る。
IT関連の職場の大半は住宅地に近く、短時間で快適な通勤が可能だ。公共交通機関やカープーリング(車の相乗り)といったさまざまな通勤手段が整っており、通勤の利便性を高めている。平均通勤時間は24分だ。
「シリコンヒルズ」とも呼ばれるオースティンのIT産業の活況は、スタートアップ(新興企業)と大手企業を魅了している。General Motors、IBM、Dell Technologies、Deloitte、Amazon.comといった大企業が給料を競い合い、オースティンをIT専門家にとって魅力的な都市にしている。
市が公共交通機関と自転車に優しいインフラ整備に力を入れているため、労働者は快適な通勤が可能だ。Lyftの調査では平均通勤時間は24.5分となっている。音楽やグルメ、アウトドア活動に彩られた活気ある生活を送ることができる。
Lyftの調査でラスベガスは通勤時間帯の移動速度が遅くならない2つの都市のうち一つ(もう一つはコロンバス)で、6.3%速くなる。通勤のカープーリング率が特に高い都市である点も特徴だ。平均通勤時間は25.6分だ。
かつてきらびやかさで知られたラスベガスは、いまやIT産業の拠点として急浮上しており、シリコンバレーの経営者らも注目し始めている。Zappos.com(2009年にAmazon.comが買収)、Plan A Technologies、Switchといった先駆的なIT企業にけん引されて、過去数年でIT職の求人は急増した。住宅価格が他のIT産業拠点に比べると比較的手頃なことも、IT人材にとっての魅力になっている。
米国勢調査局によると、2023年に徒歩で通勤している米国人はわずか2.4%だ。そうした中でボストンは突出しており、13.9%が徒歩で通勤している。この歩きやすさが通勤の手軽さの一因だ。市内に張り巡らされた地下鉄「T」は労働者と職場を素早く結び、快適に通勤できる。
ハーバード大学(Harvard University)やマサチューセッツ工科大学(MIT:Massachusetts Institute of Technology)といった名門大学があるボストン都市圏は、教育とイノベーションの歴史がある。IT分野のスタートアップや大企業がひしめくこの都市は、レビューサイトCloudwards.netが公開している、IT専門家にとっての全米ベストシティーランキング2025年版で8位を獲得した。
サンフランシスコにはGoogle、Apple、Meta Platformsといった超大手ITベンダーの本社があり、特にAI(人工知能)分野では世界のIT首都としての地位は揺らいでいない。ベンチャーキャピタルSignalFireによると、2023年シリコンバレーのあるサンフランシスコ湾岸エリアはIT技術者の数が全米で最も多く、大手ITベンダーに所属するエンジニアの49%、スタートアップに所属するエンジニアの27%が暮らしている。
交通渋滞はあるものの、集約的な都市計画のために、特にソーマ地区やミッション地区ではIT業界で働く人が職場の近くに集まっている。鉄道「BART」(Bay Area Rapid Transit)や市営鉄道(Muni:San Francisco Municipal Railway)といった公共交通機関や、自転車に優しいインフラのおかげで、快適に通勤できる。平均通勤時間は30分だ。
シカゴは列車やバスの交通網が充実しており、自転車に優しいインフラもある。「ウィンディーシティー」と呼ばれるシカゴには、自転車シェアリングサービス「Divvy」があり、自転車保護レーンが整備されていることから、市内で安全なサイクリングが楽しめる。こうした環境に優しい車の代替手段やエコプーリングは、健康的で効率的な通勤手段を求める労働者にとって魅力的だ。平均通勤時間は33分となっている。
経済誌「Fortune」が発表する企業ランキング「Fortune 500」に選ばれた企業で、シカゴに本社を置くものは複数ある。シカゴにある有名大学が優秀なIT系人材を輩出していることから、豊富な雇用機会があるのも特徴だ。ITベンダーのオフィスや工業団地、研究機関などが集まっているIllinois Technology and Research Corridorは、シカゴのIT産業を盤石にしている。こうした企業の強さと優秀な学術機関、優れた公共交通機関が組み合わさって、IT専門家にとってのシカゴの魅力を高めている。
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