SaaSベンダーのネットスイートが消費税対応や月次処理など、国内会計基準への対応機能を標準装備したSaaS型ERPスイート「NetSuite-Release J」を販売開始。国内導入の拡大を目指す。
ネットスイートは12月9日、日本市場向けにローカライズした中堅・中小企業向けSaaS(Software as a Service)型ERPスイート「NetSuite-Release J」の提供を開始した。来日した米NetSuiteのCEO、ザック・ネルソン氏は、NetSuite-Release Jを「日本市場向けに設計された初のSaaSスイート」とし、日本市場への販売拡大の意気込みを語った。
「NetSuite」は、ERP、CRM、eコマースの機能を併せ持つSaaS型統合アプリケーション。NetSuite-Release Jは同社の国内における最初のパートナーであるトランスコスモスとミロク情報サービス(MJS)の協力の下、日本市場向けのローカライズを実現しており、「消費税対応」「手形管理」「請求締め日設定」「日本会計様式の財務諸表」など、国内会計基準への対応機能を標準装備している。価格は基本契約金額が月額6万円、および利用料金が1ユーザー月額1万3000円(いずれも税別)。
ネルソン氏は、NetSuite-Release Jの利点として「コスト削減」「生産性の向上」の2点を挙げ、一般に言われるSaaSのメリットのほかに「全員が同じアプリケーションを利用するため、トレーニングコストを削減できるし、ビジネスインテリジェンス(BI)機能がユーザーインタフェースに含まれているため、単機能型SaaS以上の生産性向上やコスト削減を実現できる」と、スイート製品ならではの利点を説明。また、国内の多くの中堅・中小企業が各社内システムを別々のアプリケーションで管理している現状について「現在大企業と呼ばれる企業が10年前に抱えていた『単機能製品によるシステム構築からの脱却』と同じ課題に直面している」と指摘した。
ネットスイート代表取締役社長の東貴彦氏によると、NetSuiteの国内導入は現状わずか約50社。だがネルソン氏はIDCが発表した2007〜2012年のアプリケーション分野別SaaSの成長率を示し、今後のSaaSの浸透に自信を見せる。「SaaSはCRMでの導入がフォーカスされがちだが、さまざまなアプリケーション分野で導入が進んでいる。1つのアプリケーションで部門や役職ごとに最適化されたユーザーインタフェースを持ち、背後に1つのデータベースしか持たないSaaSスイートを利用すれば、生産性をより向上できる」と、SaaSスイートの利点をさらに強調した。
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