パッケージの利点は平均的なユーザー要求を取り入れていることだ。ユーザー要求を事細かにヒアリングする手間を省くことができる。CRMパッケージの有効な選定・導入方法について、幾つかの視点から述べてみる。
どの企業でも自社のビジネスに合ったパッケージを選定したいと考えている。しかし、パッケージ選定をする際によく見受けられるのが、自社の現状のビジネスに適合するパッケージを選ぼうとすることだ。パッケージを選定してしまってから機能不足を嘆いても手遅れの場合が多いため、CRM(顧客関係管理)の場合は自社の現状そして今後の顧客サービスに必要な機能を十分に検討する必要がある。従って、パッケージ選定よりも先に自社の「顧客サービスのあるべき姿」や、それに合わせたビジネスプロセスの再構築を重視すべきだ。
2、3年先の自社の「顧客サービスのあるべき姿」を定義し、企業の関係者で十分に共有した上で、「パッケージの選定」というプロセスに入る必要がある。ここでいう「顧客サービスのあるべき姿」とは、CRM導入前に見極める2、3年先のビジネスのゴールを意味する。例えば、「顧客情報と顧客集客のためのイベントをひも付けて徹底した顧客の囲い込みを実現する」とか、「顧客の将来的なビジネスの企画や計画を管理しながら、具体化するタイミングに合わせてタイムリーな提案を実施する」などの施策を意味する。
その次に重要なことは、パッケージを購入した後のベンダーの保守体制などを十分に検討することだ。「顧客サービスのあるべき姿」を定義しても、ビジネスはいずれ硬直化し、システムも陳腐化していく。ビジネスの変化とともに発生するシステムのバージョンアップや改修という作業に、ベンダーがユーザーサイドに立ってどこまで対応してくれるかが重要な要素になる。
パッケージ選定においては、細部にわたる情報を各方面より入手する必要がある。開発元、販売元の情報・実績から保守・運用体制を調査するとともに、パッケージ製品自体の機能、さらにパッケージ製品が選定基準に合致しているか否かを細部にわたり検証することになる。おおむね以下のような項目を重点的に調査し、比較することになる。
特に重要なことは、現場で発生する作業に適したパッケージを選定することである。これは1の「業務適合性」のことで、標準機能だけで現場作業をどこまで実施することができるか、これがパッケージ導入の一番重要なポイントとなる。
CRMパッケージにおける業務適合性とは、例えば、
などのほか、「名寄せ機能」など作業の効率化に及ぶものまで多様である。
ただし選定作業が各論に陥ってしまうと、時間を必要とするだけでなく、目標実現に最適なパッケージが選ばれなくなり、当初の「顧客サービスのあるべき姿」を無視した選定に至ってしまう可能性がある。
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